フィンランドで「PRINSE'26」開催、印刷技術の産業実装が加速

(フィンランド、日本)

ロンドン発

2026年02月06日

フィンランド北部のオウル市で1月28日、29日の両日、プリンテッド・エレクトロニクス(注)に関する国際セミナー「PRINSE'26」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますが開催された。同イベントには、欧州を中心に世界17カ国から200人超の企業関係者や研究者が参加した。

主催者の「PrintoCent」は、プリンテッド・エレクトロニクスのイノベーションと産業化を促進するためのクラスターで、フィンランド技術研究センター(VTT)、オウル大学、オウル応用科学大学、同市の産業雇用支援公社であるビジネスオウルが共同で運営し、基礎研究から試作、そして産業化までを一気通貫で支援する体制を構築している(2024年6月4日付地域・分析レポート参照)。

9回目となる今回のセミナーでは、技術が研究段階から具体的な産業応用へと移行しつつある現状が浮き彫りとなった。主な技術的傾向として、エレクトロニクスの「構造化」と「サステナビリティ」が挙げられる。従来の基板に部品を実装する方式から、筐体(きょうたい)そのものに回路や機能を一体成型して埋め込む技術(IMSE)の実用化が進み、自動車やヘルスケア分野での採用が拡大している。また、製造過程における省資源化や、バイオベース材料への転換など、サステナビリティに貢献する技術としての側面も強調された。

写真 企業ブースとネットワーキングの様子(ジェトロ撮影)

企業ブースとネットワーキングの様子(ジェトロ撮影)

セミナー2日目にはジェトロが登壇し、日本のイノベーション政策と企業支援プログラムについてプレゼンテーションを行った。 ジェトロは、日本政府が注力する戦略分野とオウルの技術力との親和性を強調し、対日投資プログラム(Invest Japan)オープンイノベーションプログラム(J-Bridge)の活用を呼びかけた。また、具体的な連携成果として、2025年9月にジェトロの「地域エコシステムへの外資誘致プログラム」の一環として実施された、山形県におけるVTTやそのクラスターに所属するスタートアップの招聘(しょうへい)プログラム(2025年10月27日記事参照)を紹介。同事業を契機に、山形大学とVTTの間で技術協力に関する覚書(MOU)が締結されるなど、企業だけでなく地域エコシステム間での共創が進んでいる実例が報告され、会場から高い関心が寄せられた。

PRINSE'26の会場には企業ブースが設置され、複数のPrintoCentスピンオフ企業によるピッチや、参加者によるネットワーキングが行われた。また、1月26~30日の期間に、地域のパイロット工場を巡る企業訪問イベントも実施された。

次回の開催日は本稿執筆時点で未発表となっている。

(注)印刷技術を用いて電子回路や電子デバイスを形成する技術。IoT(モノのインターセット)機器やウエアラブルデバイスなどに使われている。

(村田真、柴田桃佳、表志保)

(フィンランド、日本)

ビジネス短信 52054c045a31dcf4