フィンランドの研究機関やスタートアップを山形にジェトロが招聘、サステナブルエレクトロニクス分野で協力
(日本、フィンランド)
イノベーション部エコシステム課
2025年10月27日
ジェトロは9月1~5日、山形県の山形大学、米沢市と連携し、環境負荷の軽減と資源の効率利用を両立するサステナブルエレクトロニクス分野で山形への投資や協業連携を目的に、フィンランドの研究機関やスタートアップを招聘(しょうへい)した。この事業は、ジェトロの「地域エコシステムへの外資誘致プログラム」(注1)の一環で、2024年度のオランダの研究機関招聘に続いて実施した(2024年11月21日記事参照)。
9月1日には山形大学とフィンランドの国立技術研究センター
(VTT、注2)がサステナブルエレクトロニクス分野での協力関係の推進を目的として、包括連携協定を締結した。
VTTのユッカ・ハスト・リサーチマネジャーは「山形大学との連携は非常に重要だ。両国間で今後、アカデミアと産業の連携が推進されることを楽しみにしている」と期待を寄せた。
山形大学の玉手英利学長は「サステナブルエレクトロニクスは世界的にも重要な分野だと認識しており、この協定締結を機に発展できることを願っている。山形大学は両国の産業・研究コミュニティーの架け橋を担いたい」とコメントした。
山形大学とVTTとの包括連携協定の調印式(ジェトロ撮影)
包括連携協定の調印後は山形大学でワークショップ、ポスターセッションが開かれた。VTTやそのクラスターに所属するスタートアップなどからのフィンランド側13人に加え、日本全国から大学研究者や企業関係者が集まり、約140人が一堂に会して活発な交流を行った。
ポスターセッションの様子(ジェトロ撮影)
翌日には山形大学のほか、国内の化学メーカーなど企業8社が参加した個別商談会が行われ、延べ44件の商談の場が設けられた。参加した日本企業からは、「自社のサンプルをフィンランド側でテストしてもらえることになり、新たなビジネスにつながる対話ができた」との前向きな声が聞かれた。
個別の商談会(ジェトロ撮影)
また、期間中には山形大学の研究施設の有機エレクトロニクスイノベーションセンター(INOEL
、注3)や半導体関連企業なども訪問し、同分野の研究や環境への配慮に対する欧州の考え方などについて、建設的な議論が交わされた。同大学は工学部やINOELを中心に、サステナブルエレクトロニクス分野でイノベーションを牽引する取り組みを進めており、今回の招聘を機に、同大学を起点とした両国間の交流が一層深まることが期待される。
(注1)ジェトロによる、地域のエコシステム関係者と連携し、外国・外資系企業の国内地域への誘致や国際協業連携を推進するプログラム。
(注2)1942年に設立されたフィンランドの国立研究機関。半導体・量子技術・サステナブルエレクトロニクスなどの先端分野の研究開発や、企業との共同研究、技術支援などを通じたイノベーションの促進を行っている。
(注3)山形大学が運営する研究拠点で、有機EL、有機トランジスタ、フレキシブル技術、インクジェットなどの分野で、産業化を目指した基盤技術の開発と企業との連携による製品化を推進している。
(表志保)
(日本、フィンランド)
ビジネス短信 eefb00dc64b6aaae




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