欧州委、ドイツVWの中国合弁会社製BEVの価格約束を受け入れ

(EU、中国)

ブリュッセル発

2026年02月18日

欧州委員会は2月10日、大衆安徽〔ドイツのフォルクスワーゲン(VW)の中国法人と安徽江淮汽車集団(JAC)の合弁会社〕が中国からEUへ輸出するバッテリー式電気自動車(BEV)に係る価格約束を受け入れることを決定した(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。同社は最低輸入価格のほか、年間輸入台数の制限やEU域内でのBEV関連事業への投資を欧州委に誓約した。対象モデルはクプラ・タバスカンで、EUが2024年10月30日に発動した相殺関税措置(2024年11月6日記事参照)の適用免除となる。

最低輸入価格などに係る実施決定外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますが2026年2月10日付のEU官報に掲載され、翌11日に施行した。それによると、大衆安徽は2025年10月10日、EUで同モデルを輸入販売するスペインのセアトと共同で価格約束を欧州委に申請した。欧州委は12月4日から同社の申請を審査し、2026年1月12日に結果を関係者に開示し、申し立てを受けた後、価格約束の受け入れを決定した。

クプラ・タバスカンはEUの反補助金調査の対象期間(注)には生産されていなかった。このため、最低輸入価格はVWの域内産BEVの同等モデルの生産コストデータを基に、合理的な利益率などを加味して算出し、内装・外装や装備に応じて調整した。大衆安徽がEUに輸出するBEVモデルはタバスカンのみで、セアトが唯一の輸入事業者だが、同社はプラグインハイブリッド車(PHEV)など、他の車種をセアトに販売しないことを欧州委に誓約した。また、EUへの輸出および域内での販売状況について定期的な報告が義務付けられ、欧州委の輸出取引システムに車両を個別に登録することでコードが付与され、欧州委や税関当局が状況を把握できるようになる。このように、欧州委が2026年1月12日に発表した価格約束に係る指針(2026年1月19日記事参照)に沿った内容となっている。

中国政府は、欧州委が個別の企業と協議したことを批判し、内外無差別の原則とWTOルールに基づき、中国企業の申請を客観的かつ公平な方法で評価すべきと申し立てた。また、今回の価格約束に係るさらなる情報開示を要請したが、欧州委はEUの関連法令を根拠として応じなかった。

(注)EUの中国製BEVに対する反補助金調査期間は、2023年10月1日~2024年9月30日で、補助金の内容や域内産業への損害について調査した。

(滝澤祥子)

(EU、中国)

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