欧州委、中国製BEV輸出事業者向け指針を公表、最低輸入価格の申し出方法を示す

(EU、中国)

ブリュッセル発

2026年01月19日

欧州委員会は1月12日、中国製バッテリー式電気自動車(BEV)をEUに輸出する事業者向けに、最低輸入価格を申し出る「価格約束」に係る指針を発表した(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。EUは2024年10月30日に中国製BEVに対する相殺関税措置を発動したが、中国商務部とWTOルールに整合する解決策について協議を続けていた(2024年11月6日記事参照)。

同指針によると、事業者が価格約束を申請すると、欧州委は妥当性や実行可能性を迅速に評価する。結果を関係者に開示し、申し立てを受け付けた後に、最終的な可否を判断する。欧州委が価格約束を受け入れる場合、EU加盟国の承認を経て、申請分について相殺関税措置を修正することになる。

価格約束は、相殺関税と同様の効果があるかなどの観点で評価され、複数の事業者が共同で申請することも可能だが、申請内容は事業者ごとに評価される。最低輸入価格については、補助金による恩恵が排除される水準とし、(1)EUの反補助金調査の対象期間(注)の運賃保険料込み(CIF)価格に、相殺関税相当分を上乗せした価格、または(2)補助金を受けていない同タイプのEU域内製BEVの価格に、販売費および一般管理費(SG&A)と合理的な利益を加味した価格を基に決定するとした。

また、事業者が不適切な価格約束を提示し、BEV以外の製品販売で利益を補填(ほてん)するリスクを低減するため、(1)年間輸出台数を定める、(2)価格約束の期間を限定する、(3)販売チャンネルの簡素化、輸出から販売までの車両追跡ができる内部システムの構築などを検討する必要がある。

事業者によるBEV関連の域内投資に係る誓約も、価格約束の一環として評価対象となる。投資の性質、範囲、スケジュールおよび投資額の規模の提示に加え、明確かつ検証可能な中間目標の設定が求められ、誓約どおり実行されない場合は価格約束を撤回し、相殺関税の遡及(そきゅう)徴収を行うとした。

欧州委は、事業者が価格約束を順守しているか監督し、検証する。価格約束の実施可能性の観点から、(1)事業者のBEVのモデル数や装備オプションといった製品の複雑性、(2)販売チャンネルとその複雑性、(3)域内での他製品の販売状況、(4)企業の会計システムや情報の開示状況や透明性などを評価する。

(注)EUの中国製BEVに対する反補助金調査の対象期間は2022年10月1日~2023年9月30日で、補助金の内容や域内産業への損害について調査した。

(滝澤祥子)

(EU、中国)

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