ジェトロと日本大使館が在タイ日系自動車部品産業セミナーを開催

(タイ、日本)

バンコク発

2026年02月12日

ジェトロは1月27日、バンコク東部のチョンブリ県シーラーチャー郡において「在タイ自動車部品産業支援セミナー」を在タイ日本大使館と共催した。ハイブリッド形式で約260人が参加した。

同セミナーの冒頭では、大鷹正人・駐タイ日本大使が開会あいさつを行い、自動車産業が日タイ経済協力の象徴であるとした上で、「自動車産業は、昨今の電動化、地政学リスクなどの高まりで、サプライチェーンの変革期に直面している。事業構造の筋肉質化、開発スピードの向上が問われている。本セミナーを通じて、国内外の状況や日タイ両国の支援策を知り、次の一手を模索する一助としてほしい」と述べた。次に、ジェトロ・バンコク事務所の藪恭兵広域調査員が講演を行い、米国の関税措置などに起因する地政学リスクが、中国企業のASEAN展開を加速させ、1台200万~300万円という価格競争力を持つ中国勢の電気自動車(EV)がASEANで販売を伸ばしている現状について説明した。

続いてジェトロ上海事務所の佐伯岳彦次長は、人工知能(AI)が中国の自動車エコシステムを再定義しつつあると指摘。中国EVメーカーの海外戦略を踏まえた、日系サプライヤーの対応の方向性を提示した。さらに、野村総合研究所タイのプリンシパルである山本肇氏は、中国自動車サプライヤーのタイ進出も増加傾向にあり、今後のシナリオ次第では、タイにおける自動車サプライチェーン全体に影響をもたらす可能性があると説明した。

政策面では、在タイ日本大使館の沼尻祐未一等書記官が、いわゆる「マルチパスウェイ戦略」(2025年5月8日記事参照)に基づき、日本政府として、EV分野の技術開発支援に加えて、内燃機関でも合成燃料やバイオエタノール導入を拡大させる取り組みを紹介。またソフトウエア・デファインド・ビークル(SDV)(注)のグローバル販売台数での「日系シェア3割」を目指す「モビリティDX戦略」(2025年6月改定)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますに触れ、日本政府の各種施策を紹介した。これらの取り組みは、日本・タイ両政府によるエネルギー・産業対話(EID)でも今後協議される予定だ。

このほか、日本の経済産業省から、製造業のデータ連携による新ビジネス創出を目指す「ウラノス・エコシステム」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます、タイ投資委員会(BOI)からは自動車部品産業向けの投資奨励制度、海外産業人材育成協会(AOTS)からは人材育成支援スキームについて、それぞれ紹介があった。

閉会あいさつでは、ジェトロ・バンコク事務所の阿部一郎所長が「ジェトロでは、次年度も同様のセミナー開催やビジネスマッチング、インドへのミッション派遣など、新たな支援事業を検討中」と述べ、在タイ日系製造業の販路開拓や、新事業進出の支援を拡充する意向を強調した。セミナー実施後の参加者アンケートによると、参加満足度は98%(全4段階うち上位2段階の割合)に上った。

写真 セミナーの様子(ジェトロ撮影)

セミナーの様子(ジェトロ撮影)

(注)車を制御するソフトウエアを更新することで、販売後も機能の増加や性能向上ができる自動車。

(藪恭兵)

(タイ、日本)

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