欧州委、経済安保強化に向け、新旧あらゆる措置を活用し「先手を打つ」方針を明確に
(EU)
ブリュッセル発
2025年12月12日
欧州委員会は12月3日、EUの経済安全保障強化に向けた新たな政策文書を発表した(プレスリリース
)。今回の政策文書は、2023年のEU初の経済安保戦略(2023年6月23日記事参照)を基盤に、EUの既存の措置を本来の目的にかかわらず、経済安保の文脈において、より戦略的かつ積極的に活用する方針を示したものだ。また、従来の待つ姿勢から「先手を打つ」姿勢に改める必要があるとして、新たな措置の導入も検討する。
経済安保の最前線に立つ産業界については、地政学上のリスクへの耐性がもたらす利益を認識し、コストを払ってでもサプライチェーンの多角化に取り組むことが不可欠とし、そのためにEU・加盟国間および官民のより一層の協力が求められると強調する。
欧州委は今回、経済安保上の重要技術(2023年10月6日記事参照)のリスク評価に基づき、次の高リスク分野を特定した。今後はこれらの分野への取り組みを注力する。また、情報収集能力を強化するとともに、バリューチェーンに沿った戦略分野の依存関係のマッピングを迅速に実施し、脆弱(ぜいじゃく)性の要因を特定した上で、域外国との新たな依存関係をもたらす行動を監視・予測する能力を強化する。欧州委の具体的な措置については、添付資料表を参照のこと。
- 戦略分野のモノやサービスにおける依存関係の削減とサプライチェーンの強靭(きょうじん)性強化
- EUの経済安保を強化する付加価値の高い投資の誘致
- 防衛・宇宙産業やその他の高リスク産業の基盤の支援
- 重要技術分野における指導的地位の確保
- EUの経済安保を損なう恐れのある機密情報やデータの保護
- 重要インフラに対する脅威の防止・軽減
(吉沼啓介)
(EU)
ビジネス短信 527bcbf4652fa746




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