ペルー政府、ベネズエラ人の出入国で特例措置、周辺国との連携を模索
(ペルー、ベネズエラ、チリ、中南米)
リマ発
2026年01月07日
ペルー政府は1月3日、米国トランプ政権がベネズエラへの軍事侵攻によって同国のニコラス・マドゥーロ大統領とシリア・フローレス夫人を拘束した件に関連して、ベネズエラ国籍を有する者の出入国に特別措置を適用する方針を発表した。ベネズエラ情勢の流動化はペルーと周辺諸国の国家安全対策にも影響を与えそうだ。
ホセ・ヘリ大統領は、ペルー在住のベネズエラ人が祖国に戻る場合、在留資格を問わず出国できる措置を講じることを明らかにした。ベネズエラ人の逃亡先国としてペルーはコロンビアに次いで2番目に多いが、在留資格を得ないまま不法滞在しているケースもある。ベネズエラの情勢変化を踏まえ、特例的にペルーでの在留資格の取得状況を問わずスムーズに出国できるよう配慮する方針を示したものと言える。並行して移民局はマドゥーロ政権に関与したベネズエラ国籍者の入国管理を厳格に行う。
ペルー外務省は1月3日のリリース
で、ペルーが国際法と国連憲章の原則にのっとり行動する約束を順守することをあらためて表明した上で、ベネズエラの組織的な麻薬カルテルに特別な懸念を有していることを明らかにした。また、非合法なマドゥーロ政権による人権侵害が、地域に前例のない人の移動に関する危機を生じさせていると非難した。
ペルーでは不法移民増加に伴い、貧困層が住む地域などで残虐な集団犯罪が相次いでおり、その対策が重要な課題となっている。国家警察による警備強化のほか移民局が宿泊施設を外国人に利用させる場合や、不動産を外国人に賃貸する場合の取り締まり策を2024年に講じるなどさまざまな取り組みを進めているが対策が追い付かず、国家警察を管轄する内相が辞任に追い込まれることもあった(2024年10月30日記事、2025年3月25日記事参照)。首都のリマ市は集団犯罪への対策として、2026年内に市営自警団を創設し警察業務を補完する方針を打ち出した(2026年1月5日記事参照)。
政府は治安対策を巡り周辺国との連携も模索する。1月3日、ヘリ大統領は隣国チリで3月に大統領就任予定のホセ・アントニオ・カスト氏と電話会談を行い、ベネズエラ情勢と中南米地域の民主主義の推進について意見交換を行った。地元報道によるとカスト氏は1月7日にリマを訪問しヘリ大統領と会談する予定で、あらためて共通課題である安全対策について協議されるとみられる。
(石田達也)
(ペルー、ベネズエラ、チリ、中南米)
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