中国、ベンチャー支援に向けた国家投資ファンドを始動
(中国)
北京発
2026年01月05日
中国の国家発展改革委員会は2025年12月26日、記者会見において「国家創業投資引導基金」の始動を発表した。戦略的新興産業と未来産業への支援を強化し、新たな質の生産力の育成ならびに発展を加速させるとしている。
国家創業投資引導基金は1兆元(約22兆円、1元=約22円)規模の資金形成を計画する。その原資は超長期特別国債を活用し、国家レベルでは財政から1,000億元を拠出するとした。中国政府は本基金を企業制運営方式とし、国家創業投資引導基金を存続期間20年で設立した(注1)。当該企業が政策目標を実行するとともに、主体的責任を負うとし、地方政府、国有企業、金融機関、民間資本など多方面の参画を奨励するとしている。
さらに、区域基金として「京津冀(北京市・天津市・河北省)創業投資引導基金」「長三角(長江デルタ地域)創業投資引導基金」「粤港澳大湾区(広東省・香港・マカオグレーターベイエリア地域)創業投資引導基金」の3つの政府ファンドを区域基金第1弾として創設したと発表した。今後、これら3つの区域基金の規模はいずれも500億元を超え、3つの区域で600を超えるベビーファンド(子ファンド)を設立するとしている。
国家創業投資引導基金の運営方針としては、シード期・創業期・成長初期企業を投資の重点とし、忍耐強い資本によって企業の長距離走を支えるとしている。特に、早期投資を堅持し、シード期・創業期への投資規模を基金総額の70%以上とするとしている。また、投資対象となる中小企業の評価額を5億元以下、1件当たりの投資額を5,000万元未満とし、資金が各業界の先端と末端に直接届くことを確保するとしている。
投資対象分野としては、イノベーションと起業が活発な地域を中心に、集積回路(IC)、人工知能(AI)、航空宇宙、低空経済、バイオ、新エネルギーなどとしている。これら分野のプロジェクト初期段階やシード企業への投資を強化し、金融機関や民間資本の共同投資を促進するとした。
国家創業投資引導基金は、2025年3月に開催された第14期全国人民代表大会第3回会議(2025年3月6日記事参照)、および5月に発表された「科学技術金融システムの構築を加速し、質の高い科学技術の自立自強を支援することに関する若干の政策措置
」(注2)において設立が示されていた。
(注1)本基金では20年の存続期間のうち、10年を投資期、10年を退出期としている。これは、従来のベンチャーキャピタルファンドが7~10年のライフサイクルだったことを打破し、新薬開発など投資回収サイクルが長い分野を視野に入れたものとしている。
(注2)科学技術部、中国人民銀行、国家金融監督管理総局、中国証券監督管理委員会、国家発展改革委員会、財政部、国務院国有資産監督管理委員会の連名で2025年5月14日に発表された。科学技術革新において、国家創業投資引導基金がベンチャー支援の役割を発揮し、未来産業の育成や発展を推進するとしている。
(亀山達也)
(中国)
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