ベッセント米財務長官、在米企業のグローバル・ミニマム課税適用外を歓迎する声明発表
(米国)
ニューヨーク発
2026年01月08日
米国財務省のスコット・ベッセント長官は1月5日、OECDの国際課税ルールの第2の柱である世界共通の最低法人税率(グローバル・ミニマム課税)の運用に関して、米国に本社を置く多国籍企業を適用外とした合意を歓迎する声明
を発表した。OECDは同日、この第2の柱の運用に関する包括的なパッケージとなる「サイド・バイ・サイド」協定への合意
を発表している。
日本や米国を含む約140カ国・地域は、多国籍企業による税源浸食と利益移転(BEPS、注1)の防止に向け、OECD/G20による「BEPS包摂的枠組み」を通じて交渉し、巨大多国籍企業への課税権を定めた第1の柱とグローバル・ミニマム課税(15%)を定めた第2の柱で、2021年10月に合意していた(2021年10月14日記事参照)。
一方で、ドナルド・トランプ大統領は就任初日の2025年1月20日に、OECDの国際課税ルールの第2の柱は「米国の所得に対する域外管轄権を認めるもので、米国の税制の制定能力を制限するもの」などとして、財務長官とOECD常駐代表に対して米国で効力を持たないことをOECDに通知するよう指示する大統領覚書を発表した(2025年1月24日記事参照)。
今回、OECDが合意を発表したパッケージの柱となる「SbSセーフハーバー」制度は、米国の主張に基づき、本社設立国で一定基準を満たす企業に対し、グローバル・ミニマム課税の定める所得合算ルール(IIR)および軽課税所得ルール(UTPR)の不適用を認めるものだ(注2)。
OECDの合意を受け、ベッセント財務長官は声明で、「米国に本社を置く企業は、米国によるグローバル最低税のみの対象とし(注3)、第2の柱は適用外とする合意に達するために取り組んできた」とし、「本日、政権はその約束を果たした」と述べた。また、今回の合意に関して、米国での投資と雇用創出を促進する研究開発税額控除などの価値を保護し、米国のイノベーションにおけるリーダーシップを守るもの、米国の主権を保持し米国労働者と企業を域外適用による過剰な課税から保護するもの、などと成果を強調した。
(注1)Base Erosion and Profit Shiftingの略。ビジネスモデルのグローバル化やデジタル化に伴い、多国籍企業が当該企業の活動実態と各国・地域の税制や国際課税ルールとのずれを利用し、低課税の国・地域に所得を移転することで、各国・地域の税源が侵食されることなどを指す。
(注2)OECDの発表
によれば、2026年1月5日時点で、SbSセーフハーバー制度の適格国は米国のみとなっている。適用は2026年1月1日から。
(注3)米国シンクタンクのタックスファウンデーションによると、米国では多国籍企業の所得に対する国際課税として、2017年に成立した税制改革法(TCJA、いわゆるトランプ減税)のグローバル無形資産低率課税所得(GILTI)の規定に基づき、10.5%の最低税率が設定されている。
(赤平大寿)
(米国)
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