香港財政長官、スイス・ダボスで開催された世界経済フォーラム年次総会に出席

(香港、スイス)

香港発

2026年01月29日

香港の陳茂波(ポール・チャン)財政長官は、1月19~23日にスイス・ダボスで開催された世界経済フォーラム(WEF)年次総会(ダボス会議)に出席した。今回のダボス会議は「対話の精神」をテーマとし、競争が激化する世界における協力、新たな成長源の開拓、人材へのより良い投資、責任あるかたちでの大規模なイノベーションの展開、地球環境の限界範囲内での繁栄の構築などのトピックを扱った。

会期中、陳長官は複数の基調講演、食事会に出席し、議論への参加や講演を行った。政治、ビジネス、金融界のリーダーらと会談し、香港の最新情勢や新たな機会について説明したほか、世界的な政治・経済情勢や相互関心事項についての意見交換を通じて、貿易、金融、産業開発やデジタルトランスフォーメーション(DX)などの分野における協力強化の機会を探った。

香港に本社を置くアニモカ・ブランズ主催の朝食会では、金融、イノベーション分野のリーダーと、トークン化(注1)された資産やゲノムデータ分析を含むブロックチェーンの応用が資本市場の変革と発展をいかに推進しているかについて議論した。陳長官は「金融と技術は相互に補完し合うもの」とした上で、「国際金融センターとして、香港はデジタル資産の発展に対し未来を見据えた積極的かつ慎重な姿勢を取っている」と言及したほか、「『同じ活動・同じリスクには同じ規制を適用する』という原則にのっとり、責任ある持続可能な市場発展を推進している」と述べた。なお、香港は2023年以降に11の暗号資産取引事業者にライセンスを交付しており、ステーブルコイン(注2)発行者のライセンス制度に関する条例が2025年8月から施行されている(2025年5月30日記事2025年8月18日記事参照)。陳長官はまた、トークン化推進における政府の主導的役割について強調し、これまで3回にわたり総額約21億米ドルのトークン化グリーンボンドを発行したことを説明した。

総会の討論セッションにおいては、中国本土と香港は今、カーボンニュートラルに向けて着実に前進していると述べた。また、2050年までのカーボンニュートラル達成という香港政府の目標を共有するとともに、実現に向けた具体的な取り組みとして、電気自動車(EV)への税制優遇措置やグリーンビルディングへのインセンティブなどを紹介した。そしてグリーンへの移行実現のためには公的支援と信頼がカギであると強調した。

陳長官は上述のイベントのほか、WEFのボルゲ・ブレンデ総裁・最高経営責任者(CEO)やIMFのダン・カッツ第1副専務理事をはじめとする政治、ビジネス、国際機関のリーダーたちと会談し、グローバルファイナンスや相互の関心事について意見交換を行うとともに香港の視点を共有した。

(注1)不動産、株式などの現実の資産や権利を、デジタル証券(トークン)としてブロックチェーン上で扱えるようにするための技術・仕組みを指す。

(注2)価格の安定性を保つことを目的とした暗号資産。ドルやユーロなどの法定通貨や資産(ゴールドなど)と連動することで、価格を安定させている。

(越川剛)

(香港、スイス)