北米国際自動車ショー、「中国の米市場参入」や「アフォーダビリティー」に関心集まる

(米国)

ニューヨーク発

2026年01月26日

北米国際自動車ショー(NAIAS、通称:デトロイトオートショー)が114日、ミシガン州デトロイト市のハンチントンプレイスで開幕した。主催者はデトロイト自動車販売店協会(DADA)で、会期は125日までとなっている。出展企業は添付資料図を参照(注1)。

NAIASのトッド・ゾット会長は114日、筆者による会場でのインタビューで、2025年は追加関税や電気自動車(EV)税額控除の撤廃と、自動車業界にとって厳しい年だったと振り返ったが、ディーラーとしては総じて底堅い結果だったと述べた。2026年については、市場の基調は好調との見方を示した上で「不確かな状況を乗り切るためには、何があってもパニックを起こさないことが肝要」と語った。

写真 NAIASのゾット会長(ジェトロ撮影)

NAIASのゾット会長(ジェトロ撮影)

一方、今回新たに併設された「モビリティー・グローバル・フォーラム外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」では、シカゴ連邦準備銀行のクリスティン・ジチェク政策アドバイザーが、消費者の購買力低下は市場の最大のリスクだとの認識を示した。また、「車両保険料や修理費の上昇で家計負担が増している」と厳しい見方を伝えた。さらに、S&Pグローバルモビリティーのマイケル・ロビネット予測戦略担当副社長は「アフォーダブル(手頃な価格帯)なモデルの不足が販売を抑制している」と、車両価格の高止まりが市場を停滞させていることを指摘した。

自動車環境規制の緩和(2025年12月8日記事参照)について、ロビネット氏は「今後4~5年は米メーカーにとって短期的な追い風になる」としつつも、中国・欧州・日本・韓国メーカーの競争力が高まっていることから、「中長期的には国際競争力が低下する可能性を懸念する」と語った。一方で、自動車イノベーション協会(AAI)のジョン・ボゼーラ会長兼最高経営責任者(CEO)は「今後、消費者需要がより現実的な水準に落ち着き、成長ペースは緩やかになるものの、EV投資は継続されるだろう。こうした調整は、企業がバランスを取り直し、現状の需要に対応しつつ、将来の需要が見込まれる分野に戦略的に投資していくために重要だ」と述べた。

会場は中国ブランドの米市場参入を懸念

トランプ大統領が1月13日のミシガン州でのスピーチで、中国の自動車関連企業による米国進出を歓迎すると受け取れる発言外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますをしたこと(注2)を受け、会場では懸念する声が多く聞かれた。

ミシガン州のグレッチェン・ウィットマー知事(民主党)はオートショーでのスピーチで、政権交代から1年が経過した中で「コストは上昇し、あらゆる場面で不透明性が高まり、米国は過去数十年の中でも最も孤立した状況にある。中でも、自動車業界以上に多大な影響を受けた業界は存在しない」と見解を述べた。また、「関税には役割はあるものの、魔法のように米国の製造業を復活させることはない」とした。その上で、垂直統合の生産体制でシェアを拡大し続ける中国との競争に立ち向かうには、関税だけではなく、米国の強みである「イノベーション」と「(同盟国との)協働」を進める必要がある、と危機感をあらわにした。

さらに、バーニー・モレノ連邦上院議員(共和党、オハイオ州)は「(中国の自動車産業は)西側諸国の自動車産業を完全に破壊することを目的とした、巨額の補助金によって支えられた産業だ」と主張。米国内での価格の抑制のため、「規制の簡素化、税制、貿易、労働力育成など、2万5,000ドル以下の車を増やすよう政策を総動員する」と意気込みを示した。

一方、NAIASのゾット会長は「ディーラーとしては顧客が求めるものを販売するのが命題だ」と冷静に受け止める姿勢を示した。

(注1)一部はディーラーによる展示。

(注2)トランプ大統領はデトロイト・エコノミック・クラブでのスピーチで 、「もし彼らがこちらに来て工場を建て、あなたやあなたの友人を雇いたいというのであれば、それは素晴らしいことだ。ぜひ、そうしてほしい。中国が来るのも、日本が来るのもいい。彼らは(実際に)来て工場を建てているし、これからも建てるだろう。彼らは私たちの労働力を使っている」と発言した。

(大原典子)

(米国)

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