ブラジル政府、米国によるベネズエラへの軍事侵攻を強く非難
(ブラジル、ベネズエラ、米国)
調査部米州課
2026年01月05日
ブラジルのルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルバ大統領は2026年1月3日、米国トランプ政権がベネズエラへの軍事侵攻によって同国のニコラス・マドゥーロ大統領とシリア・フローレス夫人を拘束した件について、「国際法と主権への重大な侵害である」と強く批判する声明を発表した(2026年1月3日付現地政府系メディア「アジェンシア・ブラジル」)(2026年1月5日記事参照)。ルーラ大統領は、こうした軍事行為は、「武力による強制が多国間主義を凌駕(りょうが)する混乱と暴力の世界への第一歩」であると述べ、武力ではなく外交による解決を支持する姿勢を強調するとともに、国連に対し強力な対応を求めた。
ブラジル外務省では緊急会合が行われ、ルーラ大統領、マウロ・ビエイラ外相、ジョゼ・フィーリョ国防相、エンリケ・レバンドフスキ法務・治安相らが今後の対応方針に加えて、特にベネズエラと国境を接するブラジルのロライマ州の治安について協議を行った(2026年1月3日付大統領府)。
1月3日付現地紙「オ・グローボ」によれば、米国による軍事進攻が行われた直後、ロライマ州北部は一時封鎖されたものの、数時間後に国境は再開され、車両や人の往来が確認されている。ブラジル国防省は、「異常はなく、国境は落ち着いて開放されている」との声明を発表した(2026年1月4日付現地紙「バロール」)。ロライマ州の国境地帯には約2,300人の軍が配置されている。
ブラジルには約27万人のベネズエラ人が居住しているとみられる。特に原油価格が急落しはじめた2014年以降、同産業に依存するベネズエラの政治経済情勢は悪化し、多くの移民が隣国のブラジルなどに流入した(2025年10月5日付ベネズエラ現地紙「ラ・ベルダ」)。なお、2025年10月には、ベネズエラからブラジルへ不法移民約400人を密入国させたとして、関与した組織グループと賄賂を受け取って不法入国させたとみられる国境職員数十人が逮捕されている(2025年10月5日付ベネズエラ現地紙「ラ・ベルダ」)。
(辻本希世)
(ブラジル、ベネズエラ、米国)
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