トランプ米大統領、米企業の半導体事業買収を禁止、CFIUS審査を踏まえ
(米国、中国)
ニューヨーク発
2026年01月06日
米国のドナルド・トランプ大統領は1月2日、米国企業のハイフォ(HieFo)による、米国企業のエムコア(Emcore)の特定の資産の買収に関して、国家安全保障上の懸念を理由に取引を禁止する大統領令を発令
した。トランプ氏は、ハイフォが中国国民に支配されている企業であり、買収を通じて、同社が米国の国家安全保障を損なう措置を講じる可能性があると考える根拠となる、信頼性の高い証拠があることを取引禁止の理由に挙げた。
禁止対象となったのは、米国デラウェア州のフォトニックデバイス開発企業のハイフォが2024年4月に米国ニュージャージー州の航空宇宙・防衛産業製品製造企業のエムコアのリン化インジウム(InP)半導体および関連ウエハーの設計・製造・加工事業を買収した取引だ。
財務省の同日の発表
によれば、対米外国投資委員会(CFIUS)がこの取引を審査・調査した。CFIUSは、買収を通じてエムコアの知的財産や専門知識が流出する可能性、InP半導体の供給が米国外に振り向けられる可能性があり、国家安全保障上の懸念が生じると判断した。これらの懸念に対処するため、トランプ氏は大統領令を通じて、ハイフォに対し発令日から180日以内に、エムコアの資産の権益と権利を売却するよう指示した。
なお、エムコアはウェブサイトで声明を発表し、半導体事業売却は当時の取締役会および経営陣の指示の下で実行された取引であり、現在の同社は当該取引の当事者ではないと述べた。同社は政府機関に全面協力し、法令順守の上で事業運営を継続していると発表している。
CFIUSは、外国の投資が米国の国家安全保障に脅威を及ぼすかどうかを審査・調査する省庁横断の委員会だ。事前の申告や届け出がなかった取引に関しても、CFIUSが脅威の可能性を関知した場合に、事後的に審査・調査を行うことがある。CFIUSが設立された1975年以降、米国大統領はCFIUSの審査結果を踏まえ、今回の命令を含めて11件の取引禁止命令を発令している。このうち、日本製鉄によるUSスチールの買収の事案(2025年6月19日記事参照)を除く10件は、何らかのかたちで中国が関与している(添付資料表参照)。
(葛西泰介)
(米国、中国)
ビジネス短信 8854234404255d76




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