オーストラリア政府、重要鉱物戦略備蓄制度の新たな概要を発表、サプライチェーン強靭化へ

(オーストラリア)

シドニー発

2026年01月22日

オーストラリア連邦政府は1月12日、重要鉱物の安定供給確保を目的とする「重要鉱物戦略備蓄制度」について、新たな制度概要を発表した。同制度は、政府が2024年に公表した「フューチャー・メード・イン・オーストラリア」政策パッケージ(注1)の一環として、重要鉱物の採掘・加工分野を重点支援する施策の1つに位置付けられている。今回の発表では、対象鉱物や関連する予算措置、運用の枠組みなど、制度の具体的な内容が示された(2026年1月8日付地域・分析レポート参照)。

連邦政府は、2025/2026年度連邦予算において、12億オーストラリア・ドル(約1,272億円、豪ドル、1豪ドル=約106円)の重要鉱物戦略備蓄基金を計上し、2026年後半からの本格運用を予定している。同制度は、連邦政府が国内で生産される重要鉱物の権利を確保し、需要に応じて、これを市場へ供給する仕組みを柱とする。具体的には、既存の融資制度「クリティカル・ミネラル・ファシリティー(注2)」の枠組みを活用し、10億豪ドルを重要鉱物関連取引の支援に充てるほか、1億8,500万豪ドルを鉱物の備蓄や運用経費に拠出する。

当面の重点対象は、アンチモン、ガリウム、レアアースで、これらはクリーンエネルギー、ハイテク製造業、防衛関連分野などで不可欠な資源だ。オーストラリアは、豊富な鉱物資源を有する一方、精製・加工工程では海外依存が残る分野も多い。今回の制度は、単なる備蓄にとどまらず、国内での付加価値創出や精製・加工工程の強化を通じた産業基盤の強化も視野に入れている。

本制度について、ジム・チャルマーズ財務相は、「急速に変化する世界において、戦略備蓄はオーストラリアの将来の繁栄を支える重要な取り組みだ。重要鉱物の安定的な確保はサプライチェーンの強靭(きょうじん)化につながり、重要鉱物市場の安定にも寄与する」との見解を示した。また、マデレイン・キング資源・豪北部担当相は、「同制度は、オーストラリア国内の重要鉱物の採掘・加工プロジェクトを支援し、雇用創出につなげるとともに、国際的なパートナーに対して安定した信頼性の高いサプライチェーンを提供する上で、同国が中心的な役割を果たせるようにするもの」と述べた。

(注1)「フューチャー・メード・イン・オーストラリア」政策は、ネット排出ゼロの実現を含め、民間セクターによる投資促進などにより、同国経済の強靭化を図る政策。

(注2)クリティカル・ミネラル・ファシリティーは、政府が2021年に立ち上げた金融支援制度で、連邦政府の需要鉱物戦略に沿ったプロジェクトに対し、輸出金融公社が融資を提供する。

(ストーリー愛子)

(オーストラリア)

ビジネス短信 7973f10583d07c88