年初から米小売り各社でレイオフ相次ぐ、AI導入による効率化や組織再編進む

(米国)

ニューヨーク発

2026年01月30日

米国の大手小売り各社では2026年に入り、大規模なレイオフ(一時解雇)の波が押し寄せている。この背景には、トランプ政権による関税政策や、人工知能(AI)導入による業務効率化、インフレに伴うコスト増などが挙げられる。また、消費者の節約志向が強まっており、企業はコスト削減を最優先事項としている。

アマゾンは2026年1月28日、約1万6,000人のホワイトカラー職(事務部門)を削減すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。これは2025年10月に実施された1万4,000人の削減に続くもので、累計の削減規模では同社史上最大となる約3万人に達する見込みだ。同社のアンディ・ジャシーCEO(最高経営責任者)の下、AI導入による業務効率化や、組織の階層を減らして官僚主義を排除する「組織再編」が主な目的だ。今回の削減の対象には、アマゾン・ウェブ・サービスのクラウド部門から小売りなど広範な部門に及ぶ。これに加え、自社ブランドの店舗閉鎖(2026年1月28日記事参照)に伴う現場スタッフの解雇も進めている。

また、米国物流大手UPSは、2026年中に最大3万人の削減を実施する方針を発表した。同社は2025年にも、フルタイムの運転手や倉庫作業員、季節労働者などを対象に約6万2,000人の削減を実施した。2026年にさらなる人員削減を計画している主な理由には、最大顧客であるアマゾンからの配送受託量が減少する予想があるためだ。同社は2025年に、利益率の低いアマゾン関連事業の大部分を段階的に縮小させる方針を打ち出していた。トランプ政権による少額貨物の非課税基準額「デミニミスルール」(注)の適用除外で中国発の荷物量が激減したため、人員調整や自動化を含む大規模な構造改革により利益率の改善を図っている(「ニューヨーク・タイムズ」紙1月27日)。

また、百貨店大手メイシーズは、経営再建とサプライチェーン近代化の一環として、コネチカット州の配送拠点を閉鎖し、1,000人以上の人員削減を実施した。そのほか、ナイキも、自動化の加速を理由に、米国内の物流拠点を中心に約775人の削減を行うと発表した。

米国の再就職支援会社チャレンジャー・グレイ&クリスマスによると、2025年の小売業での人員削減数は前年の2.2倍(前年比123%増)の約9万3,000件に達した。これは2020年以来最大で、雇用調整の波は2026年も続く懸念が高まっている。

(注)米国では、輸入申告額が800ドル以下の少額貨物に対して関税支払いなどを免除する非課税基準額(デミニミス)ルールが設けられていたが、2025年8月29日以降、同ルールが適用停止となった。

(樫葉さくら)

(米国)

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