ASEANパワーグリッド構想の一環「LTMS-PIP」第2フェーズ始動、供給容量が倍増へ

(ラオス、タイ、マレーシア、シンガポール、ASEAN)

ビエンチャン発

2026年01月16日

ラオス電力公社(EDL)、タイ発電公社(EGAT)、マレーシアのテナガ・ナショナル(TNB)は1月14日、「電力託送合意(EWA)第2フェーズ」に署名した。これにより、ラオスからタイとマレーシアを経由し、シンガポールへ再生可能エネルギー由来に電力を最低30メガワット(MW)、最大100MW供給する。契約期間は2028年1月までの2年間となる。

この取り組みは、ASEAN域内の電力システムを相互接続し、エネルギーの持続可能性と安全保障の強化を目指す長期構想「ASEANパワーグリッド(APG)」の一環である「ラオス・タイ・マレーシア・シンガポール相互電力統合プロジェクト(LTMS-PIP)」の第2フェーズに位置づけられる。

LTMS-PIPは、ASEAN域内で再生可能エネルギーを効率的に融通するためのモデルケースとして注目されている。本プロジェクトの第1フェーズは2022年6月に開始され、ラオスの豊富な水力発電による再生可能エネルギーを、タイとマレーシアの既存送電網を経由してシンガポールへ供給する仕組みが構築された。これにより、2024年6月まで最大100MWが送電された(2022年7月4日記事参照)。ラオス商工省によると、この期間にシンガポールへ輸出された電力量は263.7ギガワット時(GWh)、輸出額は3,400万ドルに達し、ASEAN域内での電力取引の実効性を示す結果となった。第2フェーズは、各国の国内政治情勢や送電網利用手数料(ホイーリングチャージ)の算定方法を巡る協議に時間を要したため、更新が遅れていた。

今回の合意により、LTMS-PIPの第2フェーズでは、多国間・多方向の電力取引が始まり、シンガポールへの供給量は第1フェーズの2倍となる最大200MWに拡大する。この枠組みには、2024年9月にマレーシアのTNBとシンガポールのケッペル・エレクトリック(Keppel)が締結した、最大100MWのシンガポールへの電力供給契約も含まれている。ASEAN域内での電力融通は単なる2国間取引から、より複雑で柔軟なネットワーク型取引へと進化することが期待される。

なお、ASEANではLTMS-PIPのほかにも、ブルネイ・インドネシア・マレーシア・フィリピンの4カ国間で電力融通を行う「BIMP-PIP」実施に向けた協議も進められている。

(山田健一郎)

(ラオス、タイ、マレーシア、シンガポール、ASEAN)

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