フィリピンがUAEと包括的経済連携協定に署名、対中東では初のFTA、貿易投資拡大に期待

(フィリピン、アラブ首長国連邦)

マニラ発

2026年01月29日

フィリピンは1月13日、アラブ首長国連邦(UAE)との包括的経済連携協定(CEPA)に署名した(2026年1月20日記事参照)。フィリピンにとって、中東諸国との初の自由貿易協定(FTA)となる。

本協定に基づき、フィリピンからUAE向けの輸出品(注1)の約95%が特恵関税措置を享受することになり、UAEへの輸出額は9.1%増加することが見込まれる。また、主要サービス分野(注2)の事業を行う企業に対し、より明確なルールが策定された。フィリピン貿易産業省(DTI)は、「本協定によるUAEでのフィリピン人の活躍、UAE投資家からのフィリピンへの投資促進に期待する」とコメントした。また、クリスティーナ・ロケ貿易産業相は、「中東において、フィリピンの輸出およびサービス業者の地位が強化される」と強調した。

また、本協定には、デジタル貿易、中小零細企業(MSMEs)、貿易と持続可能な開発、知的財産権保護、競争と消費者保護、政府調達、経済技術協力などの分野における協力も含まれる。UAEは、2024年のフィリピンの主要貿易相手国の1つであり、中東向け輸出のうち同国向けが39%を占めた。人的資本の面では、フィリピン移住労働者省(DMW)によると、2024年時点で約70万人のフィリピン人がUAEで就労している。同年、在外フィリピン人労働者(OFW)からの送金額を現金送金元国別にみると、UAEは6位と、全体の4.4%を占めた。

本協定の締結についてフィリピン商工会議所(PCCI)は、「本協定はUAEとの貿易関係強化にとどまらず、中東、アフリカ、欧州への投資拡大につながる」とコメントした。地場のリサール商業銀行(RCBC)チーフエコノミストのマイケル・リカフォート氏は「フィリピンの農産物、特に熱帯果物の輸出品が多様化する」と述べた。

ITやエネルギー分野で関係強化へ

現地報道によると、フィリピンのヘンリー・アグダ情報通信技術相は、UAEのテクノロジー企業2社がフィリピンへの投資に関心を示していると明らかにした。具体的には、アブダビのグループ42ホールディングが、フィリピン政府が2024年に開始した「国家光ファイバーバックボーン計画(注3)」に沿って、データセンター建設のため今後5年以内に3億~5億ドルの投資を検討しているという。さらに、ドバイのDAMACデジタルが、ルソン島中部ラグナ州に最大10億ドルを投資し、国内最大規模のデータセンターを建設する計画だという(1月16日付「ビジネス・ワールド」紙)。

また、フィリピン政府は、アブダビ国営石油会社(ADNOC)との石油供給協定の締結を検討している。ADNOCは、ルソン島北西部スービックまたはラウニオンに石油貯蔵施設を建設する計画も進めており、サプライチェーンの回復力向上、エネルギー安全保障の確保が期待される(1月15日付「インクワイアラー」紙)。

(注1)フィリピンからUAE向けの輸出品には、セルフケア用品、化粧品、食品、電子機器、自動車部品、航空機部品、繊維製品、アパレル製品などを含む。

(注2)主要サービス産業には、専門サービス、建設、小売り、ITビジネスプロセスマネジメント(IT-BPM)、観光などが含まれる。なお、IT-BPMとは、ITを活用した業務委託サービス全般を指し、さまざまなサービス分野を包含する。その範囲はコールセンター、医療情報管理、バックオフィス業務からソフトウエアサービス、ゲーム開発、アニメーション制作まで多岐に及ぶ。

(注3)本計画は、フィリピン国民がより高速で信頼性の高いインターネット接続を利用できるようになることを目指すもの。

(西岡絵里奈、アギラー・パールホープ)

(フィリピン、アラブ首長国連邦)

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