プラスチック含有の使い捨て紙コップの禁止措置が2030年まで延期に
(フランス)
パリ発
2026年01月16日
フランス政府は、2026年1月1日から施行予定としていたプラスチック含有の使い捨て紙コップの禁止措置を2030年1月1日に延期した。2025年12月28日付のアレテ(省令)
(フランス語)で定めた。2028年に技術的実現可能性を再評価した上で、2030年1月1日から禁止とし、12カ月の在庫処分の期間を設ける。
2020年2月施行の循環経済法で、プラスチック製の使い捨てコップは2020年1月1日から禁止(2025年12月11日付地域・分析レポート参照)とした。他方、防水などを意図してプラスチック成分を含有した使い捨て紙コップは、2022年からプラスチック含有量の上限を15%、2024年から8%と段階的に低減した上で、2026年にプラスチックフリーへの移行を目指していた。
政府の決定は、2025年に発表された「衛生要件を満たし、消費者、企業に満足のいく条件の下で、プラスチックフリーの使い捨て紙コップを工業生産できる、完全実用化の可能な代替技術は存在しない」という、使い捨て紙コップの技術的実現の可能性に関する進捗報告の結論を踏まえたものだ。
その上で、植物由来のセルロース系コーティングなどプラスチックフリーの新たな技術開発の開始や、テイクアウト、自動販売機など、需要が高まっている分野に対応すべく進展している業界関係者による大規模投資などから、2030 年までにプラスチックを含有しない使い捨て紙コップは実現可能と判断した。
なお、プラスチック規制を巡る動きとしては、最上級行政裁判所の機能を有する国務院が2024年11月8日、野菜や果物のプラスチック包装を規制するデクレ(政令、フランス語)
(2023年6月27日記事参照)を無効としていた。デクレの無効化を求めたプラスチックの業界団体の提訴に対し、国務院は「不要な包装の使用に関する欧州規則が策定中であることを理由に、欧州委員会が政府に対し、デクレの採択を2023年12月まで延期するよう要請したにもかかわらず、政府は2023年6月20日にデクレを採択した」と無効の判決
(フランス語)を下した。
脱プラスチックへの度重なる譲歩に対し、環境団体のゼロ・ウェイスト・フランスは、「業界の圧力に屈した明らかな後退」と非難。「プラスチック含有の使い捨て紙コップの禁止の延期は、真の議論から遠ざけるものだ。真の議論は使い捨てからの脱却であり、標準化された再利用可能な容器を提供するよう事業者に義務づけるシステムを構築することだ」とした。
競争・消費・不正防止総局(DGCCRF)は2024年11月26日、2023年に実施した調査で19%の企業が使い捨てプラスチック製品の規制に違反していると発表
(フランス語)している。
(奥山直子)
(フランス)
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