ブルガリア、ユーロ導入で企業に追い風も国民の懸念続く

(ブルガリア、EU、ユーロ圏)

ブカレスト発

2026年01月15日

ブルガリアは1月1日、EU共通通貨ユーロを導入し、21番目のユーロ加盟国となった。レフからユーロへの移行は、固定レート(1ユーロ=1.95583レフ)が適用される。(2025年7月22日記事参照)。

ユーロ導入の影響は、国民生活、企業活動、金融部門など広範囲に及ぶことが予想される。国民生活においては、ユーロ圏内の移動や送金の利便性が向上し、生活水準や物価の比較が容易になるといった利点がある。一方、ユーロ導入以降も1月31日まで二重通貨の使用が可能であることによる混乱や、一部の小規模店舗でユーロが不足する事態が報じられた。ブルガリア政府はインフレ対策を強化する方針を示していたが、実際にはユーロ導入前の数カ月間、大幅なインフレ、SNSの偽情報などがまん延し、情報発信も不十分だったとの指摘もある。このため、国民の物価上昇への懸念が根強く、世論調査ではユーロ導入への賛成は42%にとどまっている(「キャピタル」1月6日付)。

ブルガリア商工会議所の調査によると、ユーロ導入によって企業が受ける恩恵は大きく、為替手数料などの取引コスト削減、経済の安定、欧州中央銀行(ECB)への直接のアクセス、投資拡大、信用格付けの向上、価格の安定などが期待されている。ユーロ圏への輸出が輸出額全体の48%(2024年実績)を占める同国にとって、年間5億ユーロ超とされる為替関連コストへのユーロ導入効果は大きい。

金融部門では、法定準備率の引き下げにより約80億ユーロの流動性資産が一時的に放出され、融資拡大を通じた投資促進が見込まれている(「キャピタル」1月9日付)。また、ユーロ導入後、主要信用格付け会社はブルガリアの格付けを相次いで引き上げた。

今後、ユーロ導入が同国の持続的な経済成長と金融の安定性向上につながるかが注目される。

(ウラジミル・カネフ、本吉美友)

(ブルガリア、EU、ユーロ圏)

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