中国共産党上海市委、第15次5カ年規画の策定建議を発表
(中国)
上海発
2026年01月23日
中国共産党上海市委員会は1月19日、「国民経済・社会発展第15次5カ年規画(2026~2030年)の策定に関する建議
」(以下、建議)を公表した。同建議は2025年12月22日の市委員会全体会議で採択されたもので、上海市政府に対する意見という位置付け。2035年までに1人当たり域内総生産(GRP)を2020年比で倍増させ、世界的影響力を持つ社会主義現代化国際大都市の建設を基本的に完成させるとして、質の高い発展やハイレベルな改革開放などについて指針が示された。
建議では、上海の核心機能である「5つのセンター(国際経済、金融、貿易、海運、科学技術イノベーション)」の全面的なアップグレードを掲げた。
製造業については、先進製造業を中心とする「2+3+6+6」の現代化産業体系を構築するための方針を示した。「上海製造(メード・イン・上海)」ブランドを打ち出すほか、伝統産業のデジタル化・スマート化・グリーン化への転換を推進するとした。また、3大先導産業〔集積回路、バイオ医薬、人工知能(AI)〕の発展、6大新興重点産業クラスター(情報産業、自動車、ハイエンド装備、先進材料、新エネルギー、ファッション消費財)の構築、6大重点分野(未来製造、未来情報、未来材料、未来エネルギー、未来宇宙、未来健康)の迅速な配置を進めるとした。
消費拡大については、「上海消費」ブランドの確立を軸に、文化・観光・スポーツ・健康などの改善型サービス消費(注1)の拡大やグリーン消費・スマート消費の発展を掲げた。また、消費モデルと業態の革新を奨励し、オンラインとオフラインの消費の融合を推進するとした。具体的には「AI+消費」やIP(知的財産)商品の消費拡大、インタラクティブ型・没入型・体験型消費の拡大、悦己消費(注2)や、ライブ配信経済の発展を支援するとした。あわせて、文化・観光・商業・スポーツ・展示産業を推進し、首発経済(注3)や夜間経済を拡大するほか、世界クラスの商業圏の建設、出国免税とクロスボーダー決済の利便性向上を通じたインバウンド消費の拡大を図る。さらに、全世代に対応した質の高い生活圏の整備を進め、高齢者層や若年層の消費潜在力を喚起し、老舗ブランドの刷新、新鋭ブランドの育成・拡大を掲げた。
また、対外開放では、浦東社会主義現代化建設先行区、浦東新区、臨港新片区、虹橋国際開放ハブ、東方ハブ国際商務協力区などの建設を推進し、改革開放試験場としての役割を発揮させるという。
このほか、全国統一大市場構築に関連した要素取得・資格認定・入札・政府調達などの障壁撤廃、法執行基準の地域間連携による「内巻式」競争の総合的な是正強化、金融、電気通信、医療、法律、文化、教育、海運などの分野におけるサービス業拡大開放の総合的な試行の深化、文化産業の発展の加速などにも言及している。今後、市政府がこの建議に基づき具体的な計画綱要案を策定する見通しだ。
(注1)改善型サービス消費:衣食住などの「生存型消費(基本的な生活維持のための消費)」が満たされた後に求められる、生活の質(QOL)の向上や自己実現、心身の健康増進を目的とした高次なサービス支出のこと。具体的には、文化・エンターテインメント、観光、スポーツ、教育などの分野を指す。
(注2)他人より「悦己(自身を喜ばせること)」を優先させ、自身の満足度を追求することに重きを置く消費行動のこと。Z世代の趣味や活動でこの傾向が強く見られる(2024年3月14日付地域・分析レポート参照)。
(注3)首発経済:企業による新製品の発表、新業態・新モデル、新サービス、新技術の導入、店舗の開業などの経済活動の総称。これまでになかった新たな製品やブランドを出店することで、経済を振興させることを目的とする。
(佐川将平)
(中国)
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