12月の米雇用統計、労働市場の弱さは続くも、極端な悪化は回避

(米国)

ニューヨーク発

2026年01月13日

米国労働省は1月9日、2025年12月の雇用統計を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。失業率を含む指標(注1)が年次改定に伴い遡及(そきゅう)改定されている。

就業者数(前月差23万2,000人増)、失業者数(同27万8,000人減)、労働参加率(62.4%、前月から0.1ポイント低下)を踏まえた失業率は4.4%(注2)と、前月(4.5%)から低下した(添付資料表1、図1参照)。また、広義の失業率(注3)も8.4%(前月8.7%)と低下した。労働参加率の低下と失業者の減少が、ほぼ同程度に失業率の低下に寄与している点は、ポジティブな要素といえる。しかし、失業率が改善を見せる一方、27週以上の失業者の増加や、労働参加率の減少に伴う14週以下の失業者の減少により、平均失業期間は24.4週(前月23.1週)と再び長期化している。再就職の難しさもうかがえる内容となっており、労働市場全体の脆弱(ぜいじゃく)性は依然として続いていると評価できる。

非農業部門の新規雇用者数は5万人増と市場予想(6万6,000人増)を下回った。11月は6万4,000人増から5万6,000人増に、10月は10万5,000人減から17万3,000人減にそれぞれ下方修正された。これに伴い、3カ月移動平均では12月の伸びは2万2,000人減と3カ月連続のマイナスになっている。もっとも、これには政府閉鎖に伴い、10月に連邦政府の雇用が大幅に落ち込んだことも影響しており、民間部門だけでみると12月は3カ月移動平均で2万9,000人増となっている。12月単月では3万7,000人増で、業種別では、娯楽・接客業や教育・医療サービスが伸びを示す一方で、製造業や建設業、小売業など複数の業種では弱さもみられた(添付資料表2、図2参照)。

雇用者数の伸びがやや弱めに推移する一方、平均時給は37.0ドル(前月36.9ドル)で、前月比0.3%増(前月0.2%増)、前年同月比3.7%増(前月3.6%増)と、わずかに伸びが加速した。

12月の雇用統計では、全体的には失業期間の長期化や雇用者数の伸びの弱さなど、労働市場の脆弱性が継続していることが確認できる一方、失業率や賃金の伸びといった要素が悪化していないことも示された。労働市場が極端に悪化していないことを踏まえれば、12月の連邦公開市場委員会(FOMC)でジェローム・パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長が示唆した路線に沿って(2025年12月11日記事参照)、FRBはしばらくの間、積極的な利下げを行わずに物価と労働市場のリスクバランスを見極める時間的余裕があるようにみえる。

(注1)雇用統計は、失業率などを含む家計調査と、非農業部門新規雇用者数や平均賃金などを含む事業所調査の2種類の統計から成り立っている。

(注2)小数点第2位までの数値で比較すると、12月は4.38%と前月(4.54%)から0.16ポイント低下。

(注3)失業者に加え、「現在は仕事を探していないが、過去12カ月の間に求職活動を行った者」と「フルタイムを希望しているものの、非自発的にパートタイムを選択している者」を合わせて算定した数値。

(加藤翔一)

(米国)

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