米国のNYクリエイツが最先端半導体の技術開発についてセミナーで講演
(米国、日本)
イノベーション部エコシステム課
2026年01月14日
ジェトロは2025年12月18日、東京で開催された半導体関連展示会「SEMICON Japan 2025」で、米国の半導体研究機関NYクリエイツ(NY Creates)と「NYクリエイツの推進する先端半導体R&Dと日米間連携の展望」と題したセミナーを共催した。NY州の州都オールバニーに最先端半導体の研究開発拠点オールバニー・ナノテク・コンプレックス(Albany Nanotech Complex)を擁する同機関とジェトロは2024年12月に覚書を締結しており(注1)、セミナーの共催は2回目となった。
セミナーではまず、ジェトロの河田美緒理事が、半導体サプライチェーン強靭(きょうじん)化における日米連携の位置づけ、日米の半導体市場環境や財政支援、日本の対内直接投資の伸びなどを解説した。加えて、両機関のネットワークを活用して地域エコシステム間の橋渡し役を務めていくと強調した。
続いて、NYクリエイツのフランク・トーリッチ・ビジネス開発ディレクターとD・K・ソーン技術導入上級ディレクターが、同機関の有する高開口数(NA)EUV露光装置(注2)をはじめとした最先端設備がもたらす、パターニング技術や先端パッケージング技術の可能性について解説した。また、同機関の支援として、開発内容や契約期間・規模に応じて柔軟に提供できるウエハー受託開発サービスや委託元の知的財産保護の取り組みも紹介した。
講演するトーリッチ氏(ジェトロ撮影)
講演するソーン氏(ジェトロ撮影)
NYクリエイツは、2026年度に北米初かつ唯一の非営利の高NAリソグラフィセンターをオールバニー・ナノテク・コンプレックス内に開設予定で、企業との戦略的連携も進展している。例えば、同機関は2025年12月16日、半導体製造装置を手掛ける日本のSCREENホールディングスと7,500万ドル規模の投資を伴うパートナーシップを発表した(注3)。同社は、オールバニー・ナノテク・コンプレックス内に新拠点「SCREEN Advanced Technology Center of America(ATCA)」を設立し、本パートナーシップを通じ、洗浄領域に加え、熱処理、アドバンスドパッケージなどの先端技術領域の要素技術・装置開発の加速を目指すという。トーリッチ氏は、セミナーで同社の取り組みに言及し、「グローバルな半導体R&Dの中心地としてオールバニーが進展する大きな一歩」と述べた。
建設中の5万平方フィート(4,645平方メートル)の施設(矢印部周辺。高NA EUV露光装置が設置予定)(NYクリエイツ提供)
さらに、ゲストとして、広島大学産業技術研究所所長の寺本章伸教授が登壇し、同教授が運営委員長を務める「せとうち半導体コンソーシアム」(注4)の取り組みを解説した。同コンソーシアムでは、半導体製造プロセスで大量に消費される窒素を削減し、有害物質を無害化する際のエネルギー消費を抑える新技術の研究開発を進めているという。寺本氏は、「業界をまたいだ本研究の成果を、新たなスタンダードとして今後大規模に実証検証できるよう、国際連携した取り組みに発展させていきたい」と米国との共同研究への期待と抱負を述べた。
講演する寺本教授(ジェトロ撮影)
北米の半導体R&D拠点として存在感を増すオールバニー。その動向は、次世代半導体の技術開発の流れの中で一層重要なものとなりそうだ。
(注1)ジェトロは2024年12月、NYクリエイツと半導体分野における連携強化を目的とした覚書を締結(2024年12月13日記事参照)。同覚書に基づき、ジェトロは2025年10月、日本から米NY州へ半導体ミッションを派遣したほか(2025年10月8日記事参照)、2026年春にもイベントを共催予定。
(注2)NAは、露光装置の解像度の指標。EUVは、Extreme Ultraviolet(極端紫外線)の略。EUV露光技術は半導体回路の微細加工に不可欠で、露光装置のレンズ口径を表す開口数(NA)を高めることで、さらなる微細化が実現する。
(注3)オールバニー・ナノテク・コンプレックス内の日本企業の開発拠点は、東京エレクトロンに次ぐ2例目。このほか、ラピダスとも現地で連携している。
(注4)「せとうち半導体コンソーシアム」には、ローツェ、マイクロンメモリジャパン、東京エレクトロン、日立ハイテクをはじめとした30超の団体が所属し、材料・部品・装置メーカーが業界横断的な共同研究などに取り組んでいる。
(豊田裕子)
(米国、日本)
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