米テキサス州でヘンプ由来THC含有食品・飲料の未成年への販売禁止へ
(米国)
ヒューストン発
2026年01月28日
米国テキサス州酒類飲料委員会(Alcoholic Beverage Commission、TABC)は1月20日、同委員会が発行している酒類販売許可証を保持する酒屋、レストラン、スーパーマーケット、コンビニエンスストアなどの小売業者を対象として、ヘンプ由来THC(注1)が含まれる食品や飲料水などの未成年(21歳未満)への販売を禁止したと、地元メディアが報じた。
保守的傾向の強いテキサス州だが、2019年に「テキサス農場法(86R-HB1325)」が成立し、乾燥重量ベースで0.3%以下のデルタ-9-テトラヒドロカンナビノール(大麻の向精神成分、THC)を含む作物の栽培や、製品の製造・販売が合法となっている。未成年者の購入・服用を規制する法律は成立していない。同州のグレッグ・アボット知事(共和党)が2025年9月10日、THC製品についての行政命令を発した(2025年11月7日付地域・分析レポート参照)のを受けて、TABCとテキサス州保健局(Department of State Health Services、DSHS)がそれぞれ規制の策定を進めていた。
TABCは前段階として2025年10月1日に、120日を期限とする緊急規則を導入。小売業者による21歳未満の消費者へのTHC製品販売を禁止すると同時に、購入には免許証など政府発行IDの提示を義務付けた。同規則では、1度でも違反が見つかれば酒類販売許可証が剥奪される内容の厳しい条項(ワンストライク条項)が含まれた。
今回の規制は、おおむね緊急規則を恒久化する内容だが、公聴会での反対意見を受けて、ワンストライク条項は緩和された。初回違反では営業許可の一時停止にとどめ、許可剥奪は複数回違反の場合に限るとしている。
DSHSは12月25日に、ヘンプ由来THC製品を扱う事業者に対する規制を大幅に強化する新ルール案を州議会に提出。21歳未満への販売禁止やラベルの表示規定のほか、小売業者の登録料を現行の1拠点あたり年間150ドルから年間2万ドルに、製造業者のライセンス料を1拠点あたり年間250ドルから年間2万5,000ドルに引き上げることなどを提案した。これにより州は年間およそ2億ドル規模の新たな歳入を見込んでおり、その資金を監視体制の強化や規制執行に充てる方針だとしている。DSHSは1月25日まで、本規制案に対する意見提出(パブリックコメント)を受け付けるとした。
ヘンプ由来THC含有製品は、グミやクッキー、チョコレートといった食品、そして飲料などさまざまなかたちで販売されている。米市場調査会社ブライトフィールドグループによると、米国のヘンプ由来THC含有製品の2020年の販売額は約2億ドル程度だったが、2024年には35億ドルに拡大、さらに2029年には44億ドルの市場に成長すると予測されている。
一方で、THCは記憶障害や脳障害などを引き起こす健康上のリスクが指摘されている。連邦政府レベルでは、2025年11月12日に成立した連邦政府のつなぎ予算法案にヘンプ由来THC含有製品に対する厳格なルールが含まれた(注2)。これにより施行1年後の2026年11月には数多くのヘンプ由来THC含有製品の販売が影響を受けることになると複数のメディアが報じており、テキサス州に限らず、連邦政府や他州でも規制の動きが進んでいる。
(注1)米国では2018年農業法に基づき、大麻草に含まれるカンビナイト主要成分であるデルタ9THCの濃度が乾燥重量ベースで0.3%以下の大麻草が合法的なヘンプと定義された。
(注2)具体的には、デルタ9THCだけでなく、デルタ8THCなどを含むTHC成分合計の濃度が乾燥重量ベースで0.3%以下の大麻草を合法的なヘンプと定義。合法ヘンプの定義を狭めることで、規制対象製品が増えることになる。
(キリアン知佳)
(米国)
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