宮城県庁がオランダから半導体関連企業・機関を招聘

(オランダ、EU、日本)

アムステルダム発

2025年12月24日

宮城県庁は12月15日、オランダの半導体関係の企業および貿易促進機関など合計13社を宮城県に招聘(しょうへい)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますし、東北大学内半導体関連施設の視察および東北の企業との交流会を実施した。

本招聘は12月17~19日に開催されるセミコン・ジャパン(SEMICON JAPAN)2025に合わせて行われた。午前中は東北大学国際集積エレクトロニクスセンター(通称CIES、半導体の消費電力を抑える技術「スピントロニクス」を中核とした研究拠点)および東北大学マイクロシステム融合研究開発センター(通称μSIC、企業と連携した実用化型研究拠点)、午後は東北大学青葉山新キャンパス内に設置されているナノテラス(NanoTerasu、原子レベルの解析を行うことができる世界最先端の3GeV高輝度放射光施設)を訪問した。

東北大学は文部科学省による第1期国際卓越研究大学制度外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますに唯一認定を受けており、蓄積された研究成果を活かした民間企業との協業などを通して「稼げる大学」を目指し、国際的な競争力を向上していくことが求められている。特に世界トップレベルの関連研究を行っている半導体分野については、国内外問わず協業連携案件増加を目指している。これまでオランダの企業や機関との協業実績は多くなく、今回の訪問をきっかけに協業案件を組成したいと東北大学関係者は述べている。

写真 ナノテラスでの集合写真(ジェトロ撮影)

ナノテラスでの集合写真(ジェトロ撮影)

視察後には宮城県内を中心とした企業との商談会およびネットワーキングイベントが開催された。ピッチセッションではオランダおよび日本の参加者双方から自社製品や技術の紹介が行われ、その後のネットワーキングイベントでは協業の可能性を求め、各々積極的に交流を行った。参加したオランダ企業の担当者に話を聞いたところ、「オランダの企業がいきなり東北地域に拠点を設立することのハードルは高い。まずは大学との共同研究などによりトライアルのようなかたちで協業し、実績を積み重ねていくことが現実的ではないか。今回の視察で東北地域のポテンシャルを実際に目にすることができた」と述べた。

写真 交流会の様子(ジェトロ撮影)

交流会の様子(ジェトロ撮影)

宮城県庁は11月にドイツ・ミュンヘンで開催されたセミコン・ヨーロッパ(SEMICON Europa)2025にも出展を行っており(2025年12月2日記事参照)、またセミコン・ジャパン2025でも東北経済産業局が東北パビリオンを設置し、東北に拠点がある37の企業および自治体の出展を支援している。東北地域での半導体エコシステムの形成に向け、産学官一体となって取り組みを継続していく。

(梅田健太郎、直江綾太郎)

(オランダ、EU、日本)

ビジネス短信 fb66f94098270ec9