ドイツで半導体産業見本市「SEMICON Europa」開催、宮城県が存在感

(EU、ドイツ、オランダ)

アムステルダム発

2025年12月02日

欧州最大級の半導体関連の見本市「SEMICON Europa 2025」が111821日、ドイツ・ミュンヘンのメッセ・ミュンヘンで開催された。今回で50回目を迎える同展示会は、欧州企業を中心として、世界各国の半導体・エレクトロニクス業界の主要企業が集結し、最新技術や市場動向を発信する場となっている。

2025年のテーマは「欧州経済の強靭(きょうじん)性(レジリエンス)を高めるための国際連携」で、サプライチェーンの強靭化や環境対応を背景に、電気自動車(EV)や再生可能エネルギー(再エネ)需要を支えるパワー半導体、人工知能(AI)や高性能計算に不可欠な先端パッケージング技術、IoT(モノのインターネット)や自動化に代表されるスマートマニュファクチャリングなどが注目分野となった。併催される製造技術見本市「Productronica」と合わせ、欧州製造業を象徴するイベントとして位置付けられている。

日本からは、欧州に拠点を持つ企業を中心に多数の企業が独自に出展しており、自治体による出展も見られた。出展していた日系企業からは、ドイツ経済の停滞に伴う需要の鈍化を懸念する声が上がる一方で、「SEMICON Europaは欧州市場を理解するうえで重要な場」とのコメントがあった。

宮城県は、東北大学マイクロシステム融合研究開発センター(東北大学μSIC)およびスタートアップ2社(東北マイクロテック、ボールウェーブ)の出展を支援した。宮城県がSEMICON Europaにブースを設置するのは3年連続となる。

宮城県は単なる出展支援にとどまらず、具体的な成果につなげるための支援も行っている。具体的には、欧州の各半導体クラスター中心として事前に会期中のアポイントメントを取得し、宮城県と欧州の半導体エコシステムの相互理解を深める機会を設けるとともに、両者のビジネスマッチングを行った。成果として、実際にその場で秘密保持契約(NDA)を締結した商談もあったとのことだ。連続して出展することで蓄積したノウハウを生かして、出展者に寄り添った支援を行っている。

12月には東京で半導体関連の展示会「セミコンジャパン」が開催予定で、同展示会について、SEMICON Europa出展者でセミコンジャパンへの出展も予定している企業からは「半導体分野で成長著しい日本で開催される展示会に出展し、市場動向や競合の状況について理解を深めたい」と期待が寄せられていた。

欧州とアジア、両市場でのプレゼンス強化を目指す日本企業や自治体の取り組みは、今後ますます重要性を増していくことが予想される。

次回、SEMICON Europa2026111013日に開催予定。

写真 展示会場入り口付近、50周年を祝う看板(ジェトロ撮影)

展示会場入り口付近、50周年を祝う看板(ジェトロ撮影)

写真 来場客でにぎわう宮城県ブース(ジェトロ撮影)

来場客でにぎわう宮城県ブース(ジェトロ撮影)

写真 宮城県と東北マイクロテック担当者による来場者への取り組みに関する説明(ジェトロ撮影)

宮城県と東北マイクロテック担当者による来場者への取り組みに関する説明(ジェトロ撮影)

(梅田健太郎、直江綾太郎)

(EU、ドイツ、オランダ)

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