ハノイ市が2026年7月からのガソリンバイク通行制限を決議、制限は当初より緩和も詳細は不明点残る
(ベトナム)
ハノイ発
2025年12月03日
ハノイ市人民評議会は、11月26日、2024年首都法に基づく低排出地域に関する決議を承認し、2026年7月以降のハノイ市内での低排出地域(LEZ)の導入と、その区域内でのガソリンバイクなどの通行制限を定めた。現時点では当初の方針(2025年8月13日記事参照)と比べ、制限内容は緩和される見通しだ。
現地報道によると、今回の決議では、2026年7月1日より環状1号線(市内中心部を囲む全長15キロの道路)の内側に、交通渋滞や過去1年間の空気質指数(AQI)などを基準としたLEZを試験的に導入し、区域内でのガソリンバイクの走行を時期や時間帯などで規制することとした。デリバリーや配車サービスなどのアプリを活用したガソリンバイクによる区域内での事業活動も禁止する。自動車については、欧州排ガス基準「ユーロ4」に適合していない車両の域内での走行を時期や時間帯などで制限する。
2028年1月1日から環状2号線、2030年1月1日から環状3号線までLEZを導入する対象地域を拡大する。
2031年からは、市内全域で基準に当てはまる地域をLEZに指定する。
また、化石燃料を使用する運輸業にはグリーン転換の義務を課す。バイクは2030年までにクリーンエネルギー車に移行、2026年7月1日以降に新規導入するタクシーはクリーンエネルギー車にすることを定めた(労働紙11月26日)。
2025年7月時点では、政府は2026年7月から環状1号線内側でのガソリンバイクの通行を全面禁止し、順次規制区域・対象を拡大する方針を示していたことから、今回の決議では一定の緩和があったといえる。当初の急進的な規制に対しては、在ベトナム日本大使館や二輪車の業界団体、ベトナム日本商工会議所(JCCI)などが市民生活や事業への影響を踏まえた段階的な移行措置の実施を求めていたほか、市民や専門家からも懸念の声が出ていた。今回の決議は、これらの要望や意見も考慮したとみられる。
しかし、11月28日時点では決議文書の詳細は明らかでなく、LEZ内の規制の時期・時間など具体的な条件はわかっていない。一部の日系企業関係者は「市民生活や企業活動への影響の大きさは依然として不透明だ」と述べており、引き続き動向を注視する必要がある。
(萩原遼太朗)
(ベトナム)
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