STSフォーラム中南米カリブ地域ハイレベル会合開催、日本関係者も存在感

(メキシコ、日本)

メキシコ発

2025年12月15日

科学技術と人類の未来に関する国際フォーラム(STSフォーラム)事務局は124日、メキシコのモレロス州クエルナバカ市で、メキシコ経済省、モレロス州政府などと共催でSTSフォーラム中南米カリブ地域ハイレベル会合を開催した。メキシコでは202112月にオンラインで第1回が、20233月には対面で第2回がそれぞれ開催されており(2023年3月17日記事参照)、今回で第3回の開催となる。

開会式には、メキシコのマルセロ・エブラル経済相、ロサウラ・ルイス科学人文技術イノベーション相、モレロス州のマルガリータ・ゴンサレス・サラビア知事らに加え、本清耕造駐メキシコ大使、土屋定之STSフォーラム専務理事が参加したほか、赤澤亮正経済産業相がビデオメッセージであいさつを述べた。開会にあたり、エブラル経済相は「本会合は研究機関、スタートアップ、大学、企業などが参加する、科学技術に焦点を当てた最も重要なイベント」と強調し、39カ国からの参加者と80以上の投資ファンドが集まったと述べた。

写真 STSフォーラム開会あいさつを述べるエブラル経済相(ジェトロ撮影)

STSフォーラム開会あいさつを述べるエブラル経済相(ジェトロ撮影)

フォーラムでは、5つの主要テーマ(水資源、電気自動車、バイオテクノロジー、航空宇宙、起業・イノベーション)が設定され、各テーマに関する14のセッションが開催された。日本からは、外務大臣次席科学技術顧問の小谷元子氏が開会セッションのモデレーターを務め、主要テーマの専門家と共にイノベーションの展望や障壁について意見を交わした。また、国際協力機構(JICA)国際協力専門員の永田謙二氏が、持続可能な水と農業の管理に関するパネルディスカッションに登壇した。

STSフォーラムと同会場で12月4~5日に同時開催された「イノバフェスト(InnovaFest)」では、250件以上の革新的プロジェクトや特許技術が展示された。日本関連では、メキシコ日本商工会議所がブースを出展し、コニカミノルタ・ビジネス・ソリューションズ、スギノマシン、MCマシナリーシステムズが技術紹介を行ったほか、ジェトロも、日本企業と海外スタートアップなどのオープンイノベーション創出支援の取り組みであるJ-Bridgeや、対日投資促進事業(Invest Japan)について紹介した。また、メキシコ政府・機関の取り組みとして、次の技術開発プロジェクト(注)なども発表・展示され、投資家や技術パートナーへのアピールが行われた。

  • オリニア(Olinia):メキシコ政府主導の国産電気自動車の開発。
  • タルク(Taruk):メキシコで設計・製造された初の電動バス。
  • イクストリ(Ixtli):国産地球観測衛星の開発。
  • クツァリ(Kutsari):プエブラ州、ハリスコ州、ソノラ州での半導体設計・製造の推進。
写真 フォーラムに併設された技術展示会「InnovaFest」会場(ジェトロ撮影)

フォーラムに併設された技術展示会「InnovaFest」会場(ジェトロ撮影)

(注)プロジェクト名はいずれもメキシコ先住民言語に由来しており、「Olinia」はナワトル語で「移動する」、「Taruk」はヤキ語で「オオミチバシリ(砂漠を俊敏に走る鳥、英名はRoadrunner)」、「Ixtli」はナワトル語で「観測する目」、「Kutsari」はプレペチャ語で「砂」をそれぞれ意味する。

(深澤竜太、ネイサ・クリオージョ)

(メキシコ、日本)

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