600人以上の参加でSTSフォーラムのラテンアメリカ会合を開催

(メキシコ、日本、中南米)

メキシコ発

2023年03月17日

メキシコ外務省と、科学技術と人類の未来に関する国際フォーラム(STSフォーラム事務局)事務局は315日、ジェトロの共催の下、STSフォーラムのラテンアメリカ・カリブ・ハイレベル会合を開催した。同会合は毎年、京都で行われるSTSフォーラムを、マルセロ・エブラル外相のイニシアチブでメキシコに誘致したもの。中南米地域における科学技術により一層の振興を目的に2020年に第1回会合が開催される予定だったが、当時メキシコにおいて新型コロナウイルス(以下、新型コロナ)の感染が広がる中で、オンライン開催にとどまっていた。今回は、完全な対面式のリアル開催となり、メキシコを中心にラテンアメリカ・カリブから600人以上の科学者、学術関係者、企業家が参加する盛大なイベントとなった。

開会セッションのスピーカーとして参加したエブラル外相は「ラテンアメリカにおいて科学技術の適切な土台を整備し、新型コロナやその他の未来のリスクに対応するようなワクチンや治療法を開発できなければ、われわれは時代についていけず、他国が持つ技術を同じようなタイミングで獲得することができないだろう」と語り、「いくら大変であろうが、現時点でわれわれ自身がやる必要がある。(新型コロナなどの)苦い教訓を忘れてはならない。全世界の科学技術コミュニティーと協働することはできるのだから」と、他国との協力の下で科学技術を振興し、将来のリスクに備えることの重要性を強調した。

写真 科学技術振興の重要性を強調するマルセロ・エブラル外相(ジェトロ撮影)

科学技術振興の重要性を強調するマルセロ・エブラル外相(ジェトロ撮影)

同セッションに参加したジェトロの河田美緒中南米担当理事は、科学技術の振興におけるオープンイノベーションの重要性を強調し、日本やアジアの市場に関心を持つラテンアメリカの企業に対して、日本企業とのコラボレーションの機会を作るサポートをジェトロが行っていることを紹介した。その際、関係機関との連携は不可欠で、STSフォーラムを初め、イノベーションに関連する官民組織と連携し、さまざまな機会を通じてネットワークを構築しつつ、内外企業のアライアンスとイノベーションの創出を後押ししていくとした。

今回の会合では、医療・健康、エネルギー転換、気候変動・環境、スタートアップ・エコシステム、4つの分野で分科会が設置され、それぞれ専門知識を持つラテンアメリカと日本の参加者による活発な議論が展開された。また、併設会場において、ラテンアメリカ・カリブ地域の特許を紹介する展示ブースも設置され、同地域における特許申請や登録を今後増加させていくことの重要性が強調された。

(中畑貴雄)

(メキシコ、日本、中南米)

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