中央経済工作会議、2026年は引き続き内需を重点政策の筆頭に
(中国)
北京発
2025年12月12日
中国の翌年の経済政策の方針を決める中央経済工作会議が12月10~11日に北京市で開催された。会議では2025年を「正常ならざる一年」と総括したうえで、新たな発展理念を貫徹し、より積極的かつ効果的なマクロ政策を実施した結果、経済・社会発展の主要目標は順調に達成する見込みと評した。
また、現状の課題認識として、従来から続く問題や新たに発生した問題が複数存在することや、外部環境の変化による影響の深刻化、国内における供給過剰と需要不足の矛盾が突出してきていることを指摘した。そのうえで、これら課題は主に発展過程や転換期におけるものであり、努力によって解決が可能とし、長期的発展を支える条件と基本的な趨勢は変わらないとした。
さらに会議では、新たな情勢下での経済活動を推進するにあたり、次の5つの「必須事項」を掲げた。
- 経済の潜在能力を十分に引き出す
- 政策支援と改革・イノベーションを同時に推進する
- 「柔軟性を持った運用」と「適切な管理」を実施する
- 物的投資と人的投資の緊密な連携を堅持する
- 外的要因による課題に備え内部基盤の強化に注力する
2026年の経済の基本方針については、引き続き「穏中求進(安定の中で前進を求める)」の方針のもと、質の向上と効率の改善を図るとした。また、積極的な財政政策を実施し、財政支出の構造を最適化し、税制優遇や財政補助政策を規範化するとした。金融政策は引き続き適度な緩和を実施し、経済の安定成長促進と物価の合理的な上昇を金融政策における重要な要素とした。さらに、人民元の為替レートを合理的で均衡のとれた水準で基本的に安定させるとした。
2026年の重点政策は8項目が挙げられた(添付資料表参照)。なお、今回の重点政策にはいずれも「堅持」が含まれており、これまでの政策を引き継ぎ、強化させていくかたちとなった。
第1に、「内需主導を堅持し、強大な国内市場を建設する」として、前年に続き国内需要の促進が筆頭に挙げられた。消費振興策の実施や収入増加策の制定などが示された。
次に、「イノベーションによる牽引を堅持し、新たな成長エンジンの育成・強化を加速する」が挙げられ、科学技術人材の育成の推進や、「人工知能+(AIプラス))(2025年9月3日記事参照)のさらなる推進が掲げられた。
このほか、「改革におけるブレークスルーを堅持し、質の高い発展の動力と活力を強化する」として、「内巻」(過度な競争)の是正、全国統一大市場の建設に向けた条例の制定が挙げられた。
また、脱炭素・グリーンについては、「『ダブルカーボン目標』(注)による先導を堅持し、全面的なグリーン転換を推進する」とし、エネルギー強国建設計画の要綱の策定が掲げられた。また、全国炭素排出権取引市場の整備の強化も挙げられた。
(注)2030年までにカーボンピークアウト、2060年までにカーボンニュートラルを実現させるとした2つの目標を指す。
(亀山達也)
(中国)
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