第3四半期GDP、鉱工業の落ち込みが続く

(メキシコ)

調査部米州課

2025年12月02日

メキシコの国立統計地理情報院(INEGI)は11月21日、2025年第3四半期(7~9月)の産業分野別実質GDP成長率PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(注1)を発表した。GDP全体では前年同期比マイナス0.1%、季節調整済み前期比はマイナス0.29%となった。2025年1~9月でみると、前年同期比0.1%のプラス成長だった。

前年同期比の成長率を産業別にみると、農牧・林業・水産は3.7%、鉱工業はマイナス2.7%、サービス産業は1.1%となった(添付資料表1参照)。季節調整済み前期比は、農牧・林業・水産3.53%、サービス産業0.22%のところ、鉱工業がマイナス1.48%と落ち込んだ(添付資料表2参照)。

鉱工業の内訳をみると、鉱業(前年同期比5.0%減)、電気・ガス・水道(1.4%減)、建設(4.7%減)、製造業(1.9%減)がいずれもマイナス成長となった。月間鉱工業生産指数(IMAI)や総固定資本形成をみても、7~9月はいずれも前年同期比マイナスとなっており、全体として鉱工業における生産・投資が低下していることがわかる。製造業の中では、特に自動車・同部品を含む輸送機器製造が9.5%減と不調が目立った。メキシコの自動車産業は輸出需要に大きく影響を受けるが、7~9月の輸送用機器・同部品の輸出額(注2)は前年同期比で5.0%減少している。また、同時期の自動車生産台数は、前年同期比1.8%減の101万4,834台だった。

サービス産業の内訳をみると、卸売業が前年同期比4.2%減と落ち込んだ一方、小売業が4.4%増と好調だった。ビジネス支援サービスは10.7%増で、1~9月では12.6%の成長となった。

メキシコ中央銀行が11月26日に発表した四半期レポートPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)では、2025年の実質GDP成長率見通しは平均0.3%とし、第2四半期時点の0.6%から下方修正した。2026年の見通しは1.1%と据え置いた。今後の見通しついては、個人消費は堅調な成長を見込むが、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)の見直しなど通商環境の不安定さにより、投資が伸び悩むとの見方を示した。輸出については、USMCAにより対米輸出における関税率が有利な一方で、(米国の)経済政策の変動リスクがあり、不確実な状況が続くとした。

(注1)INEGIは、2023年第2四半期(4~6月)から国民経済計算の基準年を2013年から2018年に変更したため、数値が過去にさかのぼって修正されており、2023年第1四半期(1~3月)以前の実質GDP成長率(2023年5月29日記事参照)の数値とは継続性がない。

(注2)HSコード第87類(鉄道用および軌道用以外の車両ならびにその部分品および付属品)に属する製品の輸出額。

(加藤遥平)

(メキシコ)

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