オーストラリア地場日本食チェーンを日本産食材サポーター店に初認定
(オーストラリア)
シドニー発
2025年12月16日
近年、オーストラリアでは、現地で起業した日本食レストランの出店が勢いを増している。ジェトロは12月5日、シドニー域内で15店舗を経営する現地飲食店企業DEVON GROUPで、日本式の丼を提供する「DOPA Donburi and Dessert
」(以下DOPA、計13店舗)各店舗を「海外における日本産食材サポーター店(注)」に認定し、新店舗オープニングセレモニーに合わせて認定証授与式を開催した。今回の認定で、オーストラリアでの登録店舗数は1,688店になる。同企業は、DOPAのほか、フレンチと日本食を融合した「Bistro Nido
」もシドニー市内で展開している。
認定式の様子〔Devon Group提供(左)、ジェトロ撮影(右)〕
DOPAは2026年にメルボルンで新たに2店舗の出店が確定しており、2019年創業当時から着実に店舗数を増やしている。
DOPAは、テイクアウトに特化した小型店とレストラン形式の大型店舗の2種類で展開している。全店舗共通設定の価格帯は、現地日本食レストラン相場の中間価格帯ともいえる15~31オーストラリア・ドル(約1,560~3,220円、豪ドル、1豪ドル=約104円)。学生を含む若年層(Z世代)をターゲットにしており、学生向けのキャンペーンを実施、今後は教育機関との連携も視野に入れている。メニューのローカライズに対するこだわりとして、丼に細かく刻んだ海苔(のり)を添えて、味わいだけでなく「触感」を楽しむことも狙っている。
日本産食材としては、ソースなどの調味料、酒などのドリンク類を主に使用している。DEVON GROUP代表取締役社長のデレック・プア氏は、日本産食材使用について「市場価値、商品のクオリティーを保つ大切な要素」と語った。今後も積極的に新たな日本食材を使用していきたいとの意向を示しており、日本産果物も将来的にはメニューに組み込む意向だ。
また、日本のアニメコンテンツとの連携にも前向きだ。同社は、2025年9月から1カ月間、人気アニメの「鬼滅の刃」とのコラボレーション事業を実施した。期間中は、特別メニューを提供し、コラボ商品の販売や抽選企画などを行った。今後も機会があれば、日本のアニメやキャラクターとイベントを行う意向を示している。
今後の展望としては、「SUSHI、RAMENのように、DONBURIが親しみのある日本食として、当地で市民権を得て、日常的に食されるようになることが夢」という。オーストラリア国外での店舗展開も視野に入れつつ、日本食として意識することがないくらい、誰でも気軽に楽しむことができる「DONBURIのグローバルチェーン」の地位を確立することを目標としている。
(注)「海外における日本産食材サポーター店認定制度」は、日本産農林水産物・食品の海外需要を拡大し輸出促進を図るため、日本産食材を積極的に使用する海外の飲食店や小売店を、日本産食材サポーター店として認定する制度。
(小笠原まりさ)
(オーストラリア)
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