広州モーターショー、NEVが初めて過半に、スマート技術が主役
(中国)
広州発
2025年12月16日
第23回広州国際モーターショー(以下、モーターショー)が11月21~30日、中国広東省広州市で開催された。来場者数は延べ85万5,000人に達し、国内外の自動車業界関係者や一般来場者でにぎわった。
今回のモーターショーでは、初公開車両93台を含む計1,085台が展示された。うち629台が新エネルギー車(NEV)で、全体の58%を占めた。NEVが展示車両の過半となるのは初めてだ。
主催者によると、今回のモーターショーでは、スマートドライビングや超高速充電などの技術が注目を集めた。ミドルエンドおよびハイエンド価格帯のモデルでは自動運転支援や音声認識を備えたスマートシステムが標準装備となり、来場者は「まず、スマートシステムを体験する」という新しい試乗スタイルを楽しんでいた。家族での長距離移動に対応する大型6人乗りスポーツ用多目的車(SUV)、アウトドア仕様のカスタム車、都市通勤に適したコンパクトNEV、家庭・ビジネス兼用の多目的車(MPV)など、細分化されたカテゴリーの新型モデルが多数展示された。
2025年12月1日付の「央広網」によると、中国の通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)傘下のスマートモビリティー技術ソリューションブランド「鴻蒙智行(HIMA)」は、今回のモーターショーで、自動車メーカーと共同で設計開発したHIMAが搭載された「五界」シリーズ(注1)の最新モデルを披露した。HIMA搭載モデルの累計販売台数は中国NEV業界における最速のスピードで100万台を突破したという。
ジェトロが11月24日にモーターショーへの来場者へヒアリングしたところ、「今回のモーターショーではランボルギーニやロールスロイスといった超高級車の存在感はあまり感じられず、新車種や新技術の発表も少ない印象」との声も聞かれた。
また、完成車展示と並行して、「モーターショー部品展」が11月21~24日に開催され、電子技術、スマートコックピット、自動運転、NEV技術、シャシーシステムなど、幅広い領域の技術・製品が出展された(2025年12月9日記事参照)。
このほか、モーターショーにおいては、中国IPGの自動車・自動車部品ワーキンググループ(注2)5社が主体となり、日本自動車工業会(JAMA)と合同で、模倣品問題に関する情報発信を目的としたブースを設置。来場者に対して模倣品に関する注意喚起を行い、知的財産保護の重要性を発信した。
次回の第24回広州国際モーターショーは、2026年11月27日から12月6日にかけて開催される予定だ。
(注1)「五界」シリーズとは、ファーウェイが中国完成車メーカーと共同で発表したブランドで、奇瑞汽車(CHERY)との共同ブランド「智界(Luxeed)」、賽力斯集団(セレス)との「問界(AITO)」、北京汽車との「享界」、江淮汽車との「尊界(MAEXTRO)」、上海汽車との「尚界(SAIC)」の5ブランドがある。
(注2)中国IPG(Intellectual Property Group in China、中国知的財産権問題研究グループ)は、中国において事業展開する日系企業および団体が主体となり、多角化する知的財産問題の解決に向けた取り組みを行うことを目的とした組織。主な活動の1つとして、会員所属業界における知的財産問題について情報交換するワーキンググループ(WG)があり、自動車・自動車部品WGはその1つ。
(梁梓園)
(中国)
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