BEVの11月新規登録台数シェア、補助金奏功で前月から倍増

(イタリア)

ミラノ発

2025年12月17日

イタリアの外国自動車代理店組合(UNRAE)は12月1日、2025年11月の同国における乗用車の新規登録車台数は12万4,222台で、前年同月並みになったと発表した。2025年1~11月の累計登録台数は前年同期比2.4%減の141万7,621台で、新型コロナ禍以前の2019年同期比では20.2%減となった。

一方、伸び悩んでいたバッテリー式電気自動車(BEV)の新規登録車台数については、2025年10月22日に発効した補助金政策が奏功し、11月は1万5,000台超に達した。燃料別のシェアも前月の5.0%から12.2%へ上昇した。この補助金政策はBEV購入に特化しており、EUの復興基金「国家復興・レジリエンス計画(PNRR)」から5億9,700万ユーロが割り当てられている(2025年9月18日記事参照)。従来、二酸化炭素(CO2)低排出車などのエコカーに対する補助金政策は企業・メードインイタリー省が主導していたが、今回から環境・エネルギー安全保障省(以下、環境省)の管轄となった。

なお、イタリア自動車工業会(ANFIA)は、BEV販売台数は躍進したものの、新規登録台数上位10位の中の複数モデルが欧州生産ではないことを指摘した(添付資料表参照)。補助金政策の策定段階で、環境省に対して、欧州生産車が優遇される環境スコア(注)の導入を求めたが採用されなかった。ANFIAは自動車生産事業者の立場から、バリューチェーン全体にわたって欧州産製品を保護するため、バッテリーに限らず、欧州での現地調達率の指標を導入する必要性を訴えている。

一方、環境スコア導入に反対していたのはUNRAEやイタリア自動車ディーラー連盟(Federauto)など販売事業者団体だ。両者は、製造・輸送過程のCO2排出量のみを対象としたフランス型の環境スコアについて、ライフサイクル全体を考慮しておらず、不適切かつ差別的で逆効果となると主張。消費者や企業の選択肢が大幅に減少し、補助金の利用減速につながると指摘する書簡を環境相へ提出していた。

BEV以外の燃料別では、ガソリン車、ディーゼル車ともに減少傾向だ。2025年11月の新規登録車台数のシェアは、前者が21.0%。後者は8.2%。2025年1~11月のシェアはそれぞれ24.7%、9.4%となった。ハイブリッド車は、11月は42.6%と横ばい、1~11月は44.5%で前年同期比4.4ポイント増だった。

また、プラグインハイブリッド車(PHEV)は今回の補助金政策の対象外だが、2025年11月のシェアは7.2%で、前月の7.7%をほぼ維持し、前年同月の3.1%を大幅に上回った。PHEVモデルの拡大と、社用車を個人利用できる福利厚生に対する税制優遇策が影響した。

(注)電気自動車の製造・輸送過程のCO2排出量をベースに算定されるスコア。

(平川容子)

(イタリア)

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