マレーシアで内閣改造、経済政策の強化と長期の政権安定目指す
(マレーシア)
クアラルンプール発
2025年12月22日
マレーシアのアンワル・イブラヒム首相は12月16日、内閣改造を発表した。2023年12月以来、2回目の内閣改造となる(2023年12月14日記事参照)。閣僚数は大臣32人、副大臣30人の計62人となり、前回からわずかに増加した。
今回の内閣改造では、閣僚辞任や任期満了によって生じた欠員ポストを補充するなどし、政権の立て直しを図った。まず、2025年5月、与党・人民正義党(PKR)の党内選挙で敗北したことを受け、ラフィジ・ラムリ経済相とニック・ナズミ・ニック・アハマド天然資源・環境持続可能性相が相次いで辞任した。11月には、サバ州への歳入配分をめぐる訴訟を背景に連邦政府との対立が深まったとして、サバ州地域政党のキナバル進歩統一組織(UPKO)の党首であるイーウォン・ベネディック起業家・協力開発相が辞任を表明した。さらに、12月2日にはザフルル・アジズ投資貿易産業相が上院議員の任期満了に伴い退任していた。
主要閣僚では、投資貿易産業相にジョハリ・アブドゥル・ガニ氏が就任した(添付資料表参照)。ジョハリ氏は実業家として知られる一方、第2財務相(2016~2018年)や財務省傘下の機関で要職を歴任し、直近はプランテーション・商品相を務めるとともに、天然資源・持続可能性相を代行していた。また、経済相に39歳のアクマル・ナスルッラー前エネルギー移行・水資源変革副大臣、天然資源・持続可能性相には43歳のアーサー・ジョセフ・クルップ前農業・食糧安全保障副大臣、人的資源相に44歳のラマナン・ラマクリシュナン前起業家・協力開発副大臣がそれぞれ昇格した。さらに、29歳のモハメド・タウフィク・ジョハリ氏が青年・スポーツ相として初入閣するなど、若手閣僚の登用も注目される。
アンワル首相は人事の発表にあたり、国の改革と開発課題の成功に向けて貢献・尽力した前閣僚に謝意を表すとともに、新たな閣僚に対し、国民の幸福と国益を最優先に職責を果たすことへの期待を表明した。また、「指導力を継続的に発揮しながら、変革を目指す政府の努力を反映するものだ」と述べた。次世代を担う指導者を起用し、長期的な政権の安定を図る考えだ。
有識者は、連立政権として政党間の連携を強化しつつ、次の総選挙も見据えて、政策の効率的な実行と成果創出を重視した動き、と評している(「ニュー・ストレーツ・タイムズ」12月18日)。また、マレーシア製造業連盟(FMM)は、政策の一貫性と安定性に期待を示した。FMMのジェイコブ・リー・チョー・コック会長は、ビジネス環境の改善に向け、規制の明確化や承認プロセスの効率化、省庁間の連携強化が必要だと訴えた(「ベルナマ通信」12月17日)。
(山口あづ希、戴可炘)
(マレーシア)
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