11月のインフレ率は前年同月比0.71%に加速も、低水準を維持

(インド)

ムンバイ発

2025年12月19日

インド統計・計画実施省(MoSPI)が12月12日に公表した2025年11月の全国ベースの消費者物価指数(CPI、注1)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)は197.9ポイント(速報値)で、前年同月比の上昇率は0.71%となった。10月(0.25%)から0.46ポイント上昇したものの、引き続きインド準備銀行(RBI、中央銀行)が定める物価安定目標(4%±2%)の下限を下回る水準にとどまった(添付資料図参照)。

食品のインフレ率(注2)は前年同月比マイナス3.91%となり、10月(マイナス5.02%)からマイナス幅が縮小した。食品分野では、野菜(マイナス22.20%)や豆類(マイナス15.86%)の下落が続いた一方、卵(3.77%)や肉・魚(2.50%)などで上昇が見られた。

地域別では、都市部が1.40%、農村部が0.10%だった。

市場関係者の間では、11月のインフレ率上昇は食品分野の下落幅縮小が主因との見方が出ている。

地場格付け会社ICRAのチーフエコノミスト、アディティ・ナヤル氏は「食品・飲料分野の前年同月比の下落幅縮小が総合指数を押し上げた」と指摘した。一方で、「野菜や豆類、香辛料は引き続き前年同月比で下落しており、食品インフレの基調はなお弱い」と述べ、物価上昇が一部にとどまっている点を強調した(「エコノミック・タイムズ」紙12月12日)。

なお、RBIは、足元のインフレ動向を踏まえ、12月初めの金融政策決定会合(MPC)で政策金利(レポレート)を25ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)引き下げ、5.25%とした(2025年12月9日記事参照)。

(注1)全国ベースのCPIは、基準年の2012年を100とし、農村部と都市部の各CPIを加重平均したもの。

(注2)ここでは、CFPI(消費者食品物価指数)のインフレ率を記載。

(篠田正大)

(インド)

ビジネス短信 de771deaa08f4141