カナダの2025年第3四半期GDP成長率はプラスに回復、前期比年率2.6%

(カナダ)

トロント発

2025年12月04日

カナダ統計局が11月28日に発表した2025年第3四半期(7~9月)の実質GDP成長率は、前期比年率2.6%外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますだった。また、第2四半期(4~6月)の成長率は9月発表のマイナス1.6%(2025年9月8日記事参照)からマイナス1.8%に下方修正された。

統計局は、輸入の減少と輸出の小幅増加により貿易収支が改善したことが成長の原因だと発表した。設備投資の増加は政府による設備投資に支えられ、企業の設備投資は横ばいにとどまった。一方で、家計支出や政府の最終支出の減少に加え、企業在庫の積み増しペース鈍化が全体の成長を抑制したと説明した。

財・サービスの輸出は小幅増加し、主に原油およびビチューメン(歴青、前期比6.7%増、注)と、商業サービス(1.7%増)が牽引した。一方、財・サービスの輸入は2.2%減少し、2022年第4四半期以来最大の落ち込みとなった。第2四半期に大幅増加した未加工の金、銀、白金(プラチナ)族金属の輸入は、第3四半期に減少へ転じた。また、産業用機械や設備、部品の輸入も減少したが、これは第2四半期に大型の石油・ガスプラットフォームモジュールの輸入で押し上げられた反動と分析した。

抑制要因である家計消費支出は、0.1%減少した。乗用車(2.3%減)や海外旅行(3.9%減)が主因で、家賃や金融投資サービスへの支出増により一部相殺された。政府最終消費支出は0.4%減と、2023年第4四半期以来の減少となった。また、企業による非農業部門の在庫積み増しも第2四半期に比べ鈍化し、製造業、運輸・通信業、公益事業で減速が顕著だった。一方、小売業では、前四半期に取り崩していた自動車在庫が補充された。

統計局の発表を受け、モントリオール銀行(BMO)のチーフエコノミスト兼マネージング・ディレクターのダグラス・ポーター氏は「第3四半期の成長率の大幅な回復は、景気後退懸念を当面払拭する重要な要因」と指摘。過去数年の上方修正も、基調的な経済が想定以上に強靭(きょうじん)であることを示しており、カナダ中央銀行にとっては混在したメッセージがあるものの、全体的には予想以上に良好で、中銀の次回会合では政策金利据え置きの可能性が高いと予測した。

中銀の次回の政策金利発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますは12月10日に予定されている。

(注)天然に産する炭化水素類、あるいはそれらを含む非金属誘導体などの混合物の総称。

(井口まゆ子)

(カナダ)

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