カナダの2025年第2四半期GDP成長率、前期比年率マイナス1.6%

(カナダ)

トロント発

2025年09月08日

カナダ統計局が8月29日に発表した2025年第2四半期(4~6月)の実質GDP成長率は、前期比年率マイナス1.6%外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますだった。また、2025年第1四半期(1~3月)の成長率は5月発表の2.2%(2025年6月4日記事参照)から2.0%に下方修正された。

統計局は、GDPがマイナスに転じた主な原因として、輸出と企業の設備投資を挙げた。米国による関税措置などの影響で、乗用車・小型トラック(24.7%減)や、旅行サービス(11.1%減)の輸出が大きくに落ち込んだ。また、企業の設備投資も0.6%減少し、中でも、コンピュータ関連を除く機械設備投資は9.4%減と、新型コロナウイルス禍の2020年を除けば、2016年以来最も低い水準となった。

一方、減少を緩和した要因として、企業在庫の積み増し、家計支出の増加、商品輸入の減少を挙げた。家計支出は1.1%増加し、トラック・スポーツ用多目的車(SUV)・バンの新車購入(5.6%増)が全体の増加を牽引。住宅投資も1.5%増加し、新築住宅建設(3.7%増)が主導した。企業在庫は非農業部門で301億カナダ・ドル(約3兆2,207億円、Cドル、1Cドル=約107円)(前期108億Cドル)と大幅に積み増しされ、金や貴金属の取得が寄与した。これにより、最終国内需要は0.9%増と前期の0.2%減から回復。輸入の減少(1.3%減)もGDPの押し上げ要因となり、特に乗用車や旅行サービスの輸入減が影響したと分析した。

統計局の発表を受け、トロント・ドミニオン銀行の調査部門TDエコノミクスのリシ・ソンディ氏は、第2四半期のGDP縮小は経済に余裕が生まれた兆しであり、第3四半期には改善の可能性があると指摘。供給過剰が続く見通しから、インフレ圧力は弱まり、政策金利が中立水準にあることを踏まえ、2025年内に追加利下げが行われる可能性が高いと予測している(TDエコノミクス8月29日)。また、モントリオール銀行(BMO)のシニアエコノミスト兼マネージング・ディレクターのベンジャミン・ライツェス氏は、判断材料となる雇用統計調査や消費者物価指数(CPI)の発表が今後に控えているため、9月の利下げの可能性は現時点では低いと予測した(BMOエコノファクト8月29日)。

中銀の次回の政策金利発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますは9月17日に予定されている。

(井口まゆ子)

(カナダ)

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