新投資規則セミナーを開催、BKPM高官が最低払込資本金の緩和など解説

(インドネシア)

ジャカルタ発

2025年12月05日

ジェトロは1111日、インドネシア投資・下流化省(BKPM)と共催し、ジャカルタで新投資規則(BKPM規則2025年第5号、2025年10月9日記事参照)に関する解説セミナーを開催した。当日はオンラインを含め約400人が参加した。

102日に施行された新規則は、リスクベース許認可の実施および投資優遇の手続きを定めたもの。同規則は、オムニバス法関連の「2025年政令第28号」の施行規則に位置づけられる。

セミナーでは、BKPMのリヤトノ投資環境整備担当次官らが登壇し、外資参入の障壁緩和と許認可手続きの迅速化に向けた新方針について解説した。

同次官によれば、最大の変更点は、外国企業(PMA)設立時の「最低払込資本金」要件が緩和された点だ。従来は1社あたり100億ルピア(約9,000万円、1ルピア=約0.009円)以上の払込みが必要だったが、新規則ではこれが25億ルピアへと大幅に引き下げられた。ただし、リヤトノ次官は、この緩和には「払込資本金は、原則として設立後12カ月間は引き出し不可」という新たな条件が加わることを説明した。また、「土地・建物を除く総投資額が100億ルピア超」という事業規模要件自体は従来どおり維持するとし、投資家に対し正確な理解を求めた。

写真 リヤトノBKPM投資環境整備担当次官(ジェトロ撮影)

リヤトノBKPM投資環境整備担当次官(ジェトロ撮影)

許認可の遅延解消のため導入された「みなし承認制度」は、事業許認可(OSS)システム上で、政府機関が定める標準処理期間(SLA)内に審査が完了しない場合、自動的に承認が発行される仕組みだ。これにより、担当官庁の審査停滞による事業開始の遅れの解消が期待されるとした。

続いて、チャヒョー・プルノモ東アジア・南アジア・中東・アフリカ担当投資促進局長は、日本を含む主要投資国別の投資実績を紹介しつつ、今回の規則改正や手続きの明確化を通じて、日系企業による新規投資や増資が一層進むことへの期待を述べた。

写真 チャヒョーBKPM東アジア・南アジア・中東・アフリカ担当投資促進局長(ジェトロ撮影)

チャヒョーBKPM東アジア・南アジア・中東・アフリカ担当投資促進局長(ジェトロ撮影)

質疑応答では、改正前のBKPM規制2021年第4号と新規則との違いや、総投資額100億ルピアに含まれる費目など、実務上の論点について多数の質問が寄せられた。BKPM側は、関連規定やOSS上の手続きに触れながら、企業が投資計画や資本構成を検討する際の留意点を説明した。さらに、参入時のキャッシュフロー負担を軽減しつつ、長期的には一定規模以上の投資を求める姿勢を崩していない点を強調した。今回の改正は、日本企業のインドネシア進出を後押しする一方、実務運用における要件の一部が厳格化されており、進出企業には細則の確認が求められる。

(山田研司)

(インドネシア)

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