第3四半期GDPは前年同期比1.8%増、農畜産業が成長を牽引
(ブラジル)
サンパウロ発
2025年12月22日
ブラジル地理統計院(IBGE)は12月4日、第3四半期(7~9月)の実質GDP成長率を発表した。前年同期比で1.8%、前期比(季節調整済み)で0.1%の成長となった(添付資料表参照)。
産業別の動向を前年同期比でみると、農畜産業が10.1%増と大きく伸び、鉱工業は1.7%増、サービス業は1.3%増だった。IBGEによると、農畜産業の好調は、トウモロコシ(23.5%増)、オレンジ(13.5%増)、綿(10.6%増)の豊作によるもの。オレンジの生産量が増加した背景の1つとして、柑橘(かんきつ)類に深刻な影響を与える伝染病である黄龍病の発生率が2年連続で減少していることが挙げられる〔2025年柑橘栽培基金(fundecitrus)レポート〕。また、世界の綿生産市場において高いシェアを誇るブラジルの綿生産量は、3年連続で増加している(9月12日付「Rabo bank」、注)。鉱工業では、鉱業が11.9%増加し、サービス業は情報サービス(5.3%増)、運輸・倉庫・郵便(4.2%増)、不動産(1.6%増)が伸びた。
需要項目別では全ての項目で増加したが、GDPの約6割を占める個人消費支出は前年同期比0.4%増にとどまり、2021年第1四半期以来の低水準となった。企画・予算省傘下の応用経済研究所(IPEA)は2025年12月9日付報告書で、現行の金融引き締め政策や世帯の負債増加が影響した、と分析している。12月5日付の現地経済誌「バロール・エコノミコ」によれば、高金利が家計やサービス業を圧迫しているという。ブラジル中央銀行は12月10日、金融政策委員会(Copom)を開催し、政策金利(Selic)を15%に据え置くことを全会一致で決定している(2025年12月19日記事参照)。
(注)Rabo Bankは、オランダに拠点を置く、農業および食品に強みを持つ銀行。農業や食品に関する調査・分析レポートも発信している。
(エルナニ・オダ)
(ブラジル)
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