バングラデシュ、総選挙の立候補予定者銃撃事件に激しい抗議活動、インドとの対立も再燃
(バングラデシュ、インド)
ダッカ発
2025年12月23日
バングラデシュでは12月12日、2026年2月12日に実施される総選挙(2025年12月12日記事参照)にダッカ第8選挙区から無所属で立候補予定だったシャリフ・オスマン・ハディ氏が、バイクに乗った2人組によって銃撃され12月18日に死亡した。これを契機に、インドとの関係が悪化している。ハディ氏は、2024年8月に起きた政変につながった反政府デモの主要なリーダーの1人であり、同年8月13日には「インキラブ・モンチョ
」(注)というプラットフォームを立ち上げ、前政権与党のアワミ連盟(AL)やシェイク・ハシナ前首相の逃亡先であるインドを批判していた。
銃撃事件の直後から、暫定政権のムハンマド・ユヌス首席顧問ほか、主要政党のバングラデシュ民族主義党(BNP)、ジャマティ・イスラミ党(JI)、国民市民党(NCP)の幹部がこれを非難し、当局に犯人の即時逮捕を要求した。インキラブ・モンチョは、犯人がインドに逃亡した可能性を主張している。ハディ氏の死亡が確認された12月19日夜、「デリーの飼い犬」「シェイク・ハシナの共犯者」と叫ぶ多数の抗議者が、国内の主要な新聞社であるデーリー・スター紙とプロトム・アロ紙の本社を襲撃した。ユヌス首席顧問はテレビ演説を行い、20日を国家哀悼日とし、19日のジュンマ礼拝(金曜午後の礼拝)後に全国のモスクで実施する特別祈禱(きとう)への国民の参加を求め、国葬を行うと明らかにした。
抗議活動は20日と21日も続いた。20日には、多数の人々が複数の在バングラデシュ・インド副高等弁務官事務所の前に集まり、同国を非難した。インド政府は在留インド人に外出を控えるよう勧告し、前日のダッカの在バングラデシュ高等弁務官での決定に続き、在クルナおよびラジシャヒの副高等弁務官事務所でも領事サービスを停止した。インド外務省はこれに先立ち、17日に駐インド・バングラデシュ高等弁務官を召喚し、「過激派勢力による虚偽の主張を完全に否定する。暫定政権が徹底的な調査を行わず、インドと有意義な証拠を共有していないことは遺憾」などと抗議し、在外公館の安全確保を求めていた。国会議事堂の近くで行われたハディ氏の国葬には、数十万人もの国民が参列し、ハディ氏の死を無駄にしないと訴える集団による行進も見られた。
2026年2月の総選挙に投票できる有権者は約1億2,770万人に上る。自由かつ公正な総選挙を実施するために、治安の維持が不可欠であり、銃撃事件の余波の広がりに注目が集まる。
(注)ベンガル語で、「革命のためのプラットフォーム」の意味。
(片岡一生)
(バングラデシュ、インド)
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