バングラデシュ総選挙は2026年2月12日実施、BNP優勢の中、選挙活動本格化へ

(バングラデシュ)

ダッカ発

2025年12月12日

バングラデシュ選挙管理委員会のナシル・ウディン委員長は12月11日、テレビ演説を行い、総選挙を2026年2月12日に実施すると発表した。7月憲章の改革案に関する国民投票も同時に行われる(2025年10月4日記事参照)。

バングラデシュ民族主義党(BNP)のミルザ・ファクルル・イスラム・アラムギール幹事長はこれを歓迎し、「過去15年間、選挙は茶番劇と化し、民主主義は破壊されてきた。全ての政党と候補者がこの選挙を祝祭とするよう自覚的に行動すべきだ」と述べ、公正かつ自由な選挙の平和的な実施を呼びかけた。ジャマティ・イスラミ党(JI)のミア・ゴラム・ポルワール幹事長は「これは選挙の実施に向けた第一歩だ。有権者が投票所へ赴き、自由公正な環境で投票できるよう、選挙管理委員会と政府が必要な措置を講じることを望む」と語った。一方、国民市民党(NCP)のナシルディン・パトワリ筆頭調整官は、投票日の発表を歓迎したものの、選挙管理委員会が中立的に運営し、治安の確保に向けて法執行機関の体制を整えることを求めた。

総選挙の投票日が明らかになったことで、選挙活動はこれから本格化する。大手新聞社プロトム・アロが12月9日に公表した世論調査(注1)によると、10月下旬ではBNPの支持率が最も高かった。「総選挙が自由かつ公正に行われた場合、どの政党が最多の議席を獲得すると思うか」に対する回答として、BNPが65.9%、JIが25.9%、NCPが0.8%を占めた。前政権を担い、現在は政治活動を禁じられている「アワミ連盟(AL)」との回答割合は7.2%だった。回答の傾向は性別や年齢にかかわらずおおむね同様で、「どの政党の勝利が国家にとって最善であるか」との問いに対しては、57.5%がBNP、32.5%がJIとの考えを示した。また、米国に本拠を構える国際共和研究所(IRI)の世論調査(注2)でも、30%がBNP、26%がJIに投票予定と回答しており、世論調査によって差の大きさに違いはあるものの、BNPが優勢となっている。

BNPは、フセイン・モハンマド・エルシャド軍事政権(1983~1990年)崩壊後、過去35年間で3度政権を担った実績を有する。他方、JIは第2政党にもなった実績はなく、獲得最多議席は1991年の18議席だが、2025年9月上旬から10月にかけて行われた複数の国立大学の中央学生自治会役員選挙で絶対多数を獲得するなど、最近、支持を伸ばしている。バングラデシュ・ユース・リーダーシップ・センターが10月10~21日に実施した18~35歳対象の世論調査では、20%がBNP、17%がJIに投票予定と回答し、両党は拮抗(きっこう)した。これから総選挙の実施にあたり、各党の選挙活動や治安情勢が、事業活動に与える影響に注目が集まる。

(注1)実施時期は10月21~28日、対象者は18~55歳の男女1,342人。

(注2)実施時期は9月13日~10月12日、対象者は18歳以上の成人4,985人、標本誤差±1.4ポイント。

(片岡一生)

(バングラデシュ)

ビジネス短信 33b080dff2fd7ece