スリランカ進出日系企業、事業拡大意欲が加速、ビジネス環境改善に向けた取り組みも
(スリランカ)
コロンボ発
2025年12月11日
ジェトロは11月26日、「2025年度 海外進出日系企業実態調査(アジア・オセアニア編)」を発表した(2025年11月26日記事参照)。本調査では、2025年8~9月に、アジア・オセアニア地域の海外進出日系企業を対象として、現地での活動実態などに関してアンケート調査を実施した。スリランカ進出日系企業からは、計31社(製造業11社、非製造業20社)から回答を得た。
調査結果によれば、2025年(1~12月)の営業利益で黒字を見込む在スリランカ日系企業の割合は46.4%と、前年調査(46.4%)から横ばいだったが、2026年の営業利益見通し(2025年との比較)は、「改善」(50.0%)、「横ばい」(42.9%)が「悪化」(7.1%)を大きく上回り、今後の改善が期待されている。
また、今後の事業展開について、半数強(51.6%)の在スリランカ日系企業が拡大意欲を示した。「拡大」の回答は、スリランカが経済危機に直面した2022年度調査では9.5%にとどまったが、2023年度(25.0%)、2024年度(36.7%)と3年連続で上昇した。
スリランカの投資環境上のメリット(複数回答)については、「言語・コミュニケーション上の障害の少なさ」(56.7%)、「人件費の安さ」(40.0%)の上位2項目の順位が前年度と入れ替わり、「市場規模/成長性」(30.0%)、「ワーカー等の雇いやすさ」(30.0%)、「従業員の質の高さ(一般ワーカー)」(26.7%)が続いて上位に挙げられた。
一方、投資環境上のリスク(複数回答)としては、「不安定な政治・社会情勢」(83.3%)、「現地政府の不透明な政策運営(注)」(60.0%)の上位2項目は変わらず、前年度にあった「不安定な為替」「人件費の高騰」「従業員の離職率の高さ」に代わって、「法制度の未整備・不透明な運用」(46.7%)、「税制・税務手続きの煩雑さ」(43.3%)、「行政手続きの煩雑さ(許認可など)」(40.0%)が多く指摘された。
日系企業とスリランカ政府機関がビジネス環境改善で意見交換を実施
こうしたビジネス上の課題に対し、環境改善に向けた取り組みも進んでいる。在スリランカ日本大使館、スリランカ日本商工会、ジェトロ、国際協力機構(JICA)、スリランカ投資庁(BOI)は11月27日、コロンボで「第2回ビジネス環境に関する日スリランカ委員会」を開催した。本委員会は、スリランカに進出する日系企業が直面する課題の解消を目指し、同国政府の実務担当者と意見交換するもの。今回の会合は、2025年8月に続いて開催され、現地進出日系企業から9社、スリランカ政府から15機関が出席し、輸出入にかかる税務、事業実施に必要な政府機関からの許認可、輸入通関時の手続きなどの課題について議論した。
(注)政策運営とは、産業政策、エネルギー政策、外資規制などを指す。
(大井裕貴)
(スリランカ)
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