スリランカ自動車・バイク市場は活況を取り戻す、現地輸入代理店に聞く

(スリランカ)

コロンボ発

2025年12月17日

スリランカは、2025年2月に約5年ぶりに自動車・バイクの輸入を再開した(2025年6月2日付地域・分析レポート参照)。現地では、中国ブランド車の参入が相次ぐなど、市場には変化も見られる。

日産やスズキの自動車、ヤマハ発動機のバイクなどの輸入代理店を務めるアソシエイテッド・モーターウェイズの佐藤ヤマハ発動機担当部長に、現地市場の状況について話を聞いた(インタビュー日:11月17日)。

(問)現在のスリランカの自動車・バイク市場について。

(答)輸入再開前の予想をはるかに上回る需要の高さが特徴だ。スリランカの2025年10月の新規登録台数は乗用車が9,202台、バイクが3万3,003台に達し、過去のピーク時に迫る水準だ(添付資料図参照)。当社では、顧客からの注文に供給が追い付かず、入荷待ちの状態が続いている。日本車への根強いニーズを実感している。

(問)日本車と他国ブランドとの競争について。

(答)自動車では、中国の比亜迪(BYD)が最も強力だ。BYDはブランドの知名度が高く、現地財閥ジョン・キールズ・ホールディングスと連携して積極的にマーケティング活動を展開し、グループ会社の小売店などで充電設備を広げている(2024年8月29日記事参照)。バイクでは、インドのバジャジ・オートやTVSモーターが先行している。両社はスリランカ国内で組み立て生産も実施しており、輸入制限期間中も販売を継続、顧客との関係性を維持してきた。

(問)輸入再開後の自動車・バイクへの規制について。

(答)新たに自動車の輸入通関後90日以内の車両登録が義務化されたが、現時点で影響はない。一方、自動車のローン比率の上限がたびたび変更されており、対応に迫られている(注)。また、税関が中古車価格の過少申告への取り締まりを強化しており、これは歓迎したい。

(問)今後のスリランカの自動車・バイク市場について。

(答)輸入再開によって解放された現在の高い需要が、どこまで持続するかが注目だ。また、電気自動車(EV)への政策も注視している。2025年1月10日に発表された物品税(Excise Duty)率は、EVに優位だった。その後1月31日に100%引き上げられたが(2025年2月4日記事参照)、将来的に優遇措置が導入される可能性もある。

(注)スリランカ中央銀行(CBSL)は、市中の金融機関に対して、自動車購入時に金融機関からのローンが占める比率を定めている。CBSLは11月8日以降、ローン比率の上限を商用車は70%、乗用車やスポーツ用多目的車(SUV)、バンや三輪自動車は50%とすると発表している。2月の輸入解禁時は商用車、小型トラック、および電気自動車が90%、ハイブリッド車および乗用車が50%、三輪自動車が25%、その他が70%とされていた。7月には商用車が80%、乗用車が60%、三輪自動車が50%、その他が70%に変更され、動力による区分がなくなった。

(大井裕貴)

(スリランカ)

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