米半導体製造のテキサス・インスツルメンツ、テキサス州で400億ドル規模の施設を稼働
(米国)
ヒューストン発
2025年12月22日
米国半導体製造大手テキサス・インスツルメンツ(TI)が約400億ドルを投じるテキサス州シャーマンの製造工場「SM1」が12月17日、正式に稼働した。同州史上最大級の民間投資で、敷地面積は約1,200エーカー(約485万平方メートル)におよぶ。今回、最大4つの工場建設計画の第1段階として完成した「SM1」は、1日に数千万個の半導体チップを製造する能力を持ち、自動車、スマートフォン、データセンター、人工知能(AI)関連機器など幅広い用途に供給される予定だ。
TIにとってシャーマン拠点への投資は、CHIPSプラス法(注)の後押しを受け、アップルなど大手企業への供給を視野に入れた、全米および複数年にわたる総額600億ドル規模の投資の一部だ。ほかにも、同州リチャードソンやユタ州の製造拠点に投資する計画を進めている(2025年6月23日記事参照)。
世界の半導体産業は、台湾積体電路製造(TSMC)や韓国のサムスン電子が圧倒的なシェアを持ち、近年ではAI向けなどの最先端半導体の開発や関連投資が活発な中、シャーマン拠点では、300ミリメートル(mm)のアナログチップと組み込みプロセッシングチップ製品という「基盤的な半導体(foundational semiconductors)」を大量生産することに重点を置く。この種の半導体はAIや自動車、家電など日常的に使われる電子機器に不可欠な部品で、台湾や韓国への依存からの脱却を目指す米国にとって、同拠点は「基盤半導体の国内供給拠点」として極めて重要な役割を担う。
TIのシャーマンにおける4つの工場が完成すれば、約3,000人の直接雇用、数千人規模の間接雇用の創出を見込む。人口約5万のシャーマン市にとって、TIによる投資は地域経済に大きな波及効果をもたらすと期待される。
開所式に参列したテキサス州のグレッグ・アボット州知事(共和党)は「未来はマイクロチップによって築かれ、テキサスが世界を次の世紀へ導く」と強調した。
(注)米国商務省は2024年12月20日、CHIPSおよび科学法(CHIPSプラス法)に基づき、TIに対する最大16億1,000万ドルの助成が確定したと発表した(2024年12月24日記事参照)。
(キリアン知佳)
(米国)
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