ハンガリー政府、エネルギー貯蔵関連投資への支援を一段と強化

(ハンガリー)

ブダペスト発

2025年12月18日

ハンガリー・エネルギー省のツェペック・ガーボル国会政務官は12月10日、ソーシャルメディア(SNS)上で、総額1,000億フォリント(約470億円、1フォリント=約0.47円、2025年12月17日ハンガリー国立銀行為替レート)規模の家庭向けエネルギー貯蔵プログラムを実施すると発表した。

本事業では、既設または新設の太陽光発電設備用の家庭用蓄電システムの導入を対象に、1件当たり最大250万フォリント(約8割負担)の給付型補助金を支給する。詳細な公募要領は2026年1月中旬までに公表され、申請期間は2月上旬から3月中旬までを予定している。

ハンガリーでは、再生可能エネルギー(再エネ)由来電力の大部分(約90%)を太陽光発電が占めており、エネルギー貯蔵は特に重要な役割を果たしている。またツェペック政務官は、2010年以降、同国では「太陽光発電の革命」が起こり、当時300カ所未満だった太陽光発電設備数は、現在では32万カ所以上にまで拡大したと強調した。こうした太陽光発電の急速な普及により、エネルギー貯蔵への投資が不可欠となっており、同分野は既にエネルギー政策の中核的な柱の1つとなりつつある。

ツェペック氏はさらに、今回の家庭向けプログラムに加え、イェドリック・アーニョッシュ・エネルギープログラム(2025年11月27日付地域・分析レポート参照)の枠組みのもとで、企業および産業用エネルギー事業者を対象に蓄電設備の導入を促す公募が、すでに総額2,300億フォリント規模で実施されていることを付言した。加えて、2026年には追加的な支援措置の公表も見込まれ、1月には産業用エネルギー貯蔵設備の導入を支援する500億フォリント規模の新たなプログラムが開始される予定だ。

ナジ・マールトン国家経済相は、2025年12月に開催されたインダストリー4.0国家技術プラットフォーム協会イベントにおいて、産業用エネルギー貯蔵設備の普及は「競争力の観点から明確な課題」と述べた。同相は、今後の国際的な競争においては、「税制に加えて誰が安定的かつ手頃な価格のエネルギーを確保できるかが企業競争力を左右する」と指摘し、企業にとって現在最も重要な投資対象は蓄電容量への投資であるべきだと強調した。その上で、「ハンガリーでも蓄電池による貯蔵容量の整備は急速に進んでいるものの、その規模は太陽光発電容量に対して約1%程度にとどまり、EU平均の3.5%と比較しても低い水準にあるため、経済政策として一層の普及を後押しする必要がある」と付け加えた。

(バラジ・ラウラ)

(ハンガリー)

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