中国外相がサウジアラビア訪問、外相会談で両国間の包括的戦略的パートナーシップを強調

(サウジアラビア、中国、湾岸協力会議(GCC))

リヤド発

2025年12月22日

中国の王毅・中国共産党中央政治局委員兼外交部長(外相)は12月14日、サウジアラビアの首都リヤドで、ファイサル・ビン・ファルハーン・アール・サウード外相と会談した。現地英字紙「アラブ・ニュース」(12月14日付)によれば、王外相は習近平国家主席からの書簡をファイサル外相に手渡し、ファイサル外相は会談中にこれを受領した、と報じられている。会談では、次の事項が確認・協議された。

【両国関係の確認と評価】

  • 包括的戦略的パートナーシップを再確認。
  • 経済、貿易、投資、エネルギーなど幅広い分野における協力関係を高く評価。
  • 両国の外交関係樹立35周年にあたり、この間の関係発展と両国民への利益を強調。

【主な協議内容】

  • 「サウジアラビア・中国ハイレベル合同委員会(注1)」政治委員会の第5回会合を開催。あらゆる分野での協力強化策について議論。
  • 双方の重要利益に関する問題で相互支援を提供する強い意欲を表明。
  • 両国指導者の期待に沿い、安全・安定・発展・繁栄を実現する措置を支持することを確認。
  • 地域、国際問題に関する意見交換とコミュニケーション強化を確認。
  • パレスチナ問題の包括的かつ公正な解決を支持し、1967年の国境に基づく東エルサレムを首都(注2)とする独立国家樹立を確認。
  • 外交、公用、特別パスポート保持者に対するビザ相互免除協定に署名。

また、12月14日付サウジアラビア国営通信(SPA)によれば、次の合意がなされた。

【サウジアラビア側】

  • 「一つの中国」政策をあらためて支持。サウジアラビアが、台湾は中国領土の一部であることを確認。
  • 2026年の第2回中国・アラブ諸国サミットおよび第2回中国・湾岸協力会議(GCC)サミットの中国開催を支持。

【中国側】

  • サウジアラビアとイラン関係の発展と支持し、地域・国際的な安全と安定に向けたサウジアラビアの役割を評価。
  • 「サウジ・ビジョン2030」に基づく経済発展を高く評価。
  • 2022年12月にサウジアラビアで開催された「アラブ・中国協力・開発サミット(注3)」の成果を称賛。
  • 2030年リヤド万博外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」への参加意向の表明。

また、王外相は同日、ムハンマド・ビン・サルマン皇太子兼首相とも会談した。両国関係の現状を確認し、共通利益に資する協力強化策や地域・国際情勢の最新動向について協議した。

(注1)2016年設立。両国のトップ・閣僚クラスが定期的かつ制度的に政策を調整、実施するための枠組み。包括的戦略的パートナーシップを制度化し、政治・安全保障・国防・エネルギー・貿易・投資・金融・科学技術・文化・観光といった幅広い分野での協力について議論。

(注2)1967年の国境線(グリーンライン)に基づき、将来の独立したパレスチナ国家の首都を東エルサレムとする立場。イスラエルとパレスチナの和平交渉における核心的な争点。

(注3)両地域の政治・経済・文化的連携などを体系化し、グローバルな課題に共同で対応するための首脳級会合。2004年のアラブ・中国協力フォーラム、2010年の天津での戦略協力関係の共同宣言、2018年の「一帯一路」構想に関する北京宣言とアラブ・中国戦略的パートナーシップの流れを受け、2022年12月にリヤドで開催。

(林憲忠)

(サウジアラビア、中国、湾岸協力会議(GCC))

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