イスラエルでサイバー・AI国際会議開催、戦争の未来と技術戦略を議論

(イスラエル)

テルアビブ発

2025年12月18日

イスラエルのテルアビブ大学で128日の週に「サイバーウーク外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」と「人工知能(AIーク外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」の国際会議が開催され、政府関係者、テクノロジー企業、投資家、学者、各国の代表団が一堂に会した。当初は20256月下旬の開催が予定されていたものの、イスラエルとイランの衝突(2025年6月13日記事参照)により延期されていた。

129日にはサイバーウイークの全体会議が開かれ、同会議の議長を務めるテルアビブ大学のアイザック・ベン=イスラエル教授が、開会あいさつで「AIが普及すればするほど、それを守るためのサイバーセキュリティーの必要性が高まる。これこそが、サイバーとAIを同時に扱う深い理由だ」と述べた。

写真 開会あいさつを行うテルアビブ大学のアイザック・ベン=イスラエル教授(ジェトロ撮影)

開会あいさつを行うテルアビブ大学のアイザック・ベン=イスラエル教授(ジェトロ撮影)

「デジタル最前線:サイバー脅威の時代における戦略、権力、保護」と題するセッションでは、イスラエル国家サイバー総局(INCD)のヨシ・カラディ局長が、「現在は物理的戦力とサイバー戦力の相乗効果が確認されるハイブリッド戦争だが、今後は物理的戦力なしにサイバー空間で完結する戦争に移行する」と主張した。国家防衛については、「膨大な運用経験と最先端技術を組み合わせたデータ駆動型防御であるべき」と強調した。

写真 講演を行うイスラエル国家サイバー総局(INCD)のヨシ・カラディ局長(ジェトロ撮影)

講演を行うイスラエル国家サイバー総局(INCD)のヨシ・カラディ局長(ジェトロ撮影)

全体会議の最後には、イスラエル総保安庁(シンベト)の前長官のロネン・バー氏(2025年5月26日記事参照)の特別基調講演が行われた。バー氏は「イスラエルの技術的優位性の維持が国家の生存に不可欠」と述べた。同氏は「戦争の形態が核兵器からテロ、そして現在の『サイバーと影響力の戦場』へと移行した」と主張し、「物理的な壁だけでなく、情報操作やサイバー攻撃に対抗する『道徳的な壁』と『ファイアウォール』が必要だ」と語った。さらに、AIについては、「生成AIを組織に導入することを支持し、経営層はその導入に深く関与するべきである」と提言した。

イスラエルの軍事衝突の関連情報は、ジェトロのイスラエルとハマスの衝突の特集イスラエルとイラン情勢の特集を参照。

(中溝丘、アリエル・マロム)

(イスラエル)

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