イスラエルでサイバー・AI国際会議開催、戦争の未来と技術戦略を議論
(イスラエル)
テルアビブ発
2025年12月18日
イスラエルのテルアビブ大学で12月8日の週に「サイバーウイーク
」と「人工知能(AI)ウイーク
」の国際会議が開催され、政府関係者、テクノロジー企業、投資家、学者、各国の代表団が一堂に会した。当初は2025年6月下旬の開催が予定されていたものの、イスラエルとイランの衝突(2025年6月13日記事参照)により延期されていた。
12月9日にはサイバーウイークの全体会議が開かれ、同会議の議長を務めるテルアビブ大学のアイザック・ベン=イスラエル教授が、開会あいさつで「AIが普及すればするほど、それを守るためのサイバーセキュリティーの必要性が高まる。これこそが、サイバーとAIを同時に扱う深い理由だ」と述べた。
開会あいさつを行うテルアビブ大学のアイザック・ベン=イスラエル教授(ジェトロ撮影)
「デジタル最前線:サイバー脅威の時代における戦略、権力、保護」と題するセッションでは、イスラエル国家サイバー総局(INCD)のヨシ・カラディ局長が、「現在は物理的戦力とサイバー戦力の相乗効果が確認されるハイブリッド戦争だが、今後は物理的戦力なしにサイバー空間で完結する戦争に移行する」と主張した。国家防衛については、「膨大な運用経験と最先端技術を組み合わせたデータ駆動型防御であるべき」と強調した。
講演を行うイスラエル国家サイバー総局(INCD)のヨシ・カラディ局長(ジェトロ撮影)
全体会議の最後には、イスラエル総保安庁(シンベト)の前長官のロネン・バー氏(2025年5月26日記事参照)の特別基調講演が行われた。バー氏は「イスラエルの技術的優位性の維持が国家の生存に不可欠」と述べた。同氏は「戦争の形態が核兵器からテロ、そして現在の『サイバーと影響力の戦場』へと移行した」と主張し、「物理的な壁だけでなく、情報操作やサイバー攻撃に対抗する『道徳的な壁』と『ファイアウォール』が必要だ」と語った。さらに、AIについては、「生成AIを組織に導入することを支持し、経営層はその導入に深く関与するべきである」と提言した。
イスラエルの軍事衝突の関連情報は、ジェトロのイスラエルとハマスの衝突の特集、イスラエルとイラン情勢の特集を参照。
(中溝丘、アリエル・マロム)
(イスラエル)
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