米ウォルト・ディズニーがオープンAIとのライセンス契約を締結

(米国)

ロサンゼルス発

2025年12月18日

米国のウォルト・ディズニー・カンパニーは12月11日、対話型人工知能(AI)の開発を手掛ける米国のオープンAIとライセンス契約を締結したことを発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。3年間の契約中は、生成AI動画プラットフォーム「SORA」でディズニーブランドの人気キャラクターを利用できることになる。200種類以上のディズニー、マーベル、ピクサー、スター・ウォーズのキャラクターを視聴者が選択し、短編動画の作成が可能となる。これには衣装、小道具、乗り物やディズニーが使用する象徴的な背景も含まれる。視聴者はストリーミングサイトのDisney+(ディズニープラス)を通じ、生成した短編動画の視聴が可能となる。また、本発表において、ディズニーとオープンAIは共同で、ユーザーの安全とクリエーターの権利を守る、責任あるAI活用を行うと表明している。

ライセンス契約に加え、ディズニーはオープンAIの主要顧客となり、オープンAIのAPI(注)を使用してDisney+を含む新しい製品、ツール、体験を構築し、ディズニーの従業員向けにChatGPTを導入するという。契約の一環として、ディズニーはオープンAIに10億ドルの株式投資を行い、追加の株式を購入するための株式購入権(ワラント)を取得する。

この契約は、大手エンターテインメント企業と台頭するAI企業を結びつける画期的な事例だが、アーティストが持つ肖像権や音声などの知的財産権保護に関する懸念もある。

米国の俳優・声優・放送パーソナリティーなどメディア業界の労働組合SAG-AFTRAは、「契約および肖像、音声、肖像を保護する適用法の順守を確保するために、取引とその活用を綿密に監視する」との声明を公表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。約16万人の俳優や歌手、アナウンサーなどの組合員からなる同労働組合は、2023年に起きた制作会社側との交渉決裂によるストライキの要因の1つとして、AIが俳優の肖像権を使用する場合は俳優側の承諾を得るなど、AI規制の必要性を主張していた。

カリフォルニア州では、米国でも先行したAI利用に関する法整備を開始しており(2025年6月27日記事参照)、安全で安心なAIの技術革新を行うための政策原則が提示されている。

(注)ソフトウエアやアプリケーション同士がデータや機能の情報をやり取りできるインターフェイス。

(サチエ・ヴァメーレン)

(米国)

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