米カリフォルニア州知事、最先端AIの政策報告書を発表
(米国)
サンフランシスコ発
2025年06月27日
米国カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事(民主党)は6月17日、複数の研究者や専門家による「カリフォルニア州最先端AI(人工知能)政策報告書」を発表
した。
ニューサム知事は2024年9月に、議会で承認された「最先端AIシステムのための安全で安心な技術革新法(SB1047)」に拒否権を発動し、複数の専門家とともに新たな規制枠組みの検討を進めると発表していた(2024年10月7日記事参照)。
報告書は、特定の法律や規制の賛否を論じるものではなく、知事からの要請により最先端のAIモデルのガバナンスに関する課題に焦点を当てている。イノベーションの重要性を考慮しつつ、重大なリスクを軽減するための戦略を確立するため、実証研究、歴史的分析、モデリング、シミュレーションなど幅広い事例と手法を採用している。それらから、事例・証拠・予測に基づく政策立案、透明性と安全性のバランス、急速に進化するこの分野における適切な閾値(いきち)の設定などの政策原則が提示されている。
ニューサム知事は、「カリフォルニアは、AIをはじめとする、米国の経済成長を牽引するイノベーションとテクノロジーの拠点である。ドナルド・トランプ大統領が、公共の安全を守る法律を廃止して米国を過去に戻そうとしているなか、カリフォルニア州は、賢明かつ効果的な政策立案により、引き続き先駆的な役割を果たしていく。生成AI 技術を推進するにあたり、カリフォルニア州民の安全を最優先事項として取り組むため、この重要な報告書の作成に協力してくれた専門家や学識者の方々に感謝の意を表する」と述べた。
なお、現在、上院で審議中の「大きく美しい1つの法案(One Big Beautiful Bill)」(2025年6月19日記事参照)には、州ごとの異なる規制がAIの技術革新を妨げるのを防ぐことを目的として今後10年間にわたり州が独自にAI規制を施行しようとした場合、連邦政府の資金援助を停止する内容を盛り込んでおり、審議の行方が注目されている。
(芦崎暢)
(米国)
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