ウクライナ復興会議、ウクライナとの物流強化で日本企業の参画にも期待

(ルーマニア、ウクライナ、モルドバ、日本)

ブカレスト発

2025年12月22日

ルーマニアのブカレストで121112日、ウクライナ復興会議「ウクライナ復興〜安全保障、機会、投資(Rebuilding Ukraine: Security, Opportunities, Investment)」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますが開催された(2025年12月19日記事参照)。2日間で約30のパネルディスカッションが行われた。11日に行われたウクライナ、ルーマニア、モルドバの3国間連携をテーマとしたセッションでは、日本を含む多国間連携に対する期待も示された。

写真 パネルディスカッションの様子(ジェトロ撮影)

パネルディスカッションの様子(ジェトロ撮影)

モルドバのウラジーミル・ボレア副首相兼インフラ・地域開発相は、同国がウクライナと互換性のある鉄道インフラや倉庫・輸送施設を有している点に触れ、物流面において重要な役割を果たし得るとの認識を示した。また、ルーマニアと連携したインフラ整備の進展にも言及し、両国の強みを組み合わせることで、ウクライナ復興に貢献できる可能性があると述べた。

ルーマニアのミハイ・ジュルカ首相府官房長官兼ウクライナ復興担当特使は、同国東部における高速道路や交通インフラ整備の進捗を紹介し、ルーマニアおよびモルドバが物流拠点として機能することが、ウクライナ復興を支える重要な前提になると述べた。また、ルーマニアが競争力を持つ分野を整理した上で、日本を含む主要な協力国との調整を進めていく考えが示された。

ウクライナのユリア・シルコ最高会議(国会)運輸・インフラ委員会第1副委員長は、ウクライナと欧州をつなぐ物流の結節点はポーランド国境が中心だが、ルーマニアやモルドバの南部国境へ多角化する必要性を指摘し、国境検問所や道路・鉄道インフラの整備を重要な課題として挙げた。また、日本のIHIが建設に参画したドナウ川に架かるブライラ橋を例に挙げ、ウクライナ復興への第三国の積極的な参画に期待を示した。

パネルディスカッションの後、ジェトロはシルコ氏に対し、日本企業のウクライナ復興参画についてインタビューを行った。同氏は、日本の企業が橋をはじめとするインフラ分野に高い技術力を持つ点に触れ、日本政府や民間資金、EU基金を活用した官民連携によるウクライナ復興への関与に期待していると述べた。また、戦時下でウクライナの国家予算が逼迫しているため、将来の具体的な復興プロジェクトに備え、事業の実施可能性を確認する事前調査や設計段階への関与が重要との認識を示した。

(太田響子、ミルナ・ブルガ)

(ルーマニア、ウクライナ、モルドバ、日本)

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